週刊なるほど!消費税

納税額の計算(12)
原則課税

第137号 2005/08/29

【先生】

 前回は課税売上割合が95%未満の場合について、支払った消費税を

3つに区分するということをお話しました。

【生徒】

 「課税売上のために直接かかったもの」と、「非課税売上のために直接

かかったもの」と「それらに共通してかかったもの」ですね。

【先生】

 そうです。今回は『預かった消費税』から実際に控除する金額を計算する

お話に入ります。

 この計算方法ですが、実は2種類の方法があります。

【生徒】

 うわ。もしかして両方とも計算しないといけないのかな・・・

【先生】

 選択制ですのでそうなりますが、詳しくは後々お話しましょう。

 この2つの方法は個別対応方式と一括比例配分方式といわれるものです。

 まずはそれぞれの計算方法を説明しましょう。

 個別対応方式は文字通り個別に対応させて計算する方法です。3つに区分

した『支払った消費税』のうち、

1.課税売上のために直接かかったものは全額控除の対象とします

2.非課税売上のために直接かかったのもは全額控除の対象からはずします

3.共通してかかったものは課税売上のためにかかった分だけを控除の対象

 とします

【生徒】

 3の「課税売上のためにかかった分だけ」というのはどうやって抜き出すんで

すか?

【先生】

 確かに共通してかかっているものですから、直接抜き出すことはできません。

そこで使用するのが課税売上割合です。

【生徒】

 課税売上割合・・・またまた登場ですか。

【先生】

 課税売上割合は「課税売上+非課税売上の合計のうち、課税売上はどのくらい

の割合か」を示すものです。ですからこれを共通してかかった『支払った消費税』

にかけてあげれば、課税売上の割合分だけ抜き出せるということになります。

【生徒】

 なるほど。直接は金額を抜き出せないから割合決めようってことですね。

【先生】

 結局、個別対応方式では次の金額の合計が『預かった消費税』から控除できる

金額となります。

 支払った消費税のうち

・課税売上のために直接かかったものの額

・課税売上と非課税売上に共通してかかったものに課税売上割合をかけた額

【生徒】

 きちんと区分さえできれば計算方法はそれほど難しくないですね。

【先生】

 実はまだこれで終わりではありません。個別対応方式で計算する場合には、

この方式にだけ認められた特例があります。

【生徒】

 特例?

【先生】

 そうです。

 先程、共通してかかったものに課税売上割合をかけるということをお話しました

が、乗じる割合を「課税売上割合」に代えて「課税売上割合に準ずる割合」を用い

ることも認められています。

【生徒】

 課税売上割合に準ずる割合?どんな割合ですか?

【先生】

 課税売上割合を用いて計算するよりも、事業の種類や費用の種類に応じて、

より合理的と認められる割合のことです。

 例えば従業員割合や事業部ごとの売上割合、床面積割合などがあります。

【生徒】

 そしたらこの割合をうまく使えば、単純に課税売上割合を使うよりも控除額を大き

くすることもできますね。

【先生】

 そうですね。但しこの「課税売上割合に準じる割合」を使うためには税務署長の

承認が必要ですし、やめる場合にも届出が必要となります。

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