週刊なるほど!消費税

納税額の計算(13)
原則課税

第138号 2005/09/05

【先生】

 選挙戦はなかなかの白熱具合ですが、消費税の増税議論も話題に上る

ようになってきました。

【生徒】

 税率UPはやむをえないんだろうけど、その前にやることがある気がするゾ。

【先生】

 そうですね。せめて議員の数を半分にするくらいの“誠意”を見せてほしい

ですね。

 では今回のお話に入りましょう。前回は個別対応方式について説明しました。

この方式による計算では、支払った消費税のうち

1課税売上のために直接かかったものの額

2課税売上と非課税売上に共通してかかったものに課税売上割合をかけた額

この2つの合計額が控除できる金額となります。

【生徒】

 2の計算では「課税売上割合」に代えて「課税売上割合に準ずる割合」が使え

るんですよね。

【先生】

 そうです。税務署長の承認を受けた「課税売上割合に準ずる割合」が使えます。

【生徒】

 でも使えるのは個別対応方式の2の計算の場面でだけですよね。

【先生】

 はい。課税売上割合の95%判定の際などには使えません。

 さて、今回はもう一つの計算方法である一括比例配分方式について見ていき

ましょう。

 個別対応方式では支払った消費税を3つの区分に分けて計算しましたが、一括

比例配分方式は、支払った消費税全体に課税売上割合をかけ、それにより計算

された金額が控除できる金額となります。

【生徒】

 支払った消費税×課税売上割合 ってことですか?

【先生】

 そうです。この場合の課税売上割合は代わりに「課税売上割合に準ずる割合」

を使うことはできません。

 個別対応方式と一括比例配分方式は選択制で、事前の届出等も必要ありません

ので、納税額計算の際に有利な方を選ぶことができます。

【生徒】

 へー。それはありがたいですね。

【先生】

 ですが、支払った消費税を3つに区分していない場合には個別対応方式では計算

できませんので、自動的に一括比例配分方式を選択することになります。

 有利な選択をしたい場合には支払った消費税をきちんと3つの区分に分けた上で、

2つの方法それぞれで納税額を計算してみる必要があります。

【生徒】

 分ける必要が無いからって安易に一括比例配分方式を選ぶと、損をするかもしれ

ないんですね。

【先生】

 また一度一括比例配分方式を選択すると、最低2年間は継続適用しなくてはいけ

ません。

 2年継続適用すれば、個別対応方式に変更することが可能です。個別対応方式

から一括比例配分方式へはいつでも変更可能です。

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