週刊税務調査日記

2人の調査官(2)

第378号 2011/7/29

●税務署

「現在、元従業員の方と訴訟をされているのですか?」

稟議書をめくっていた調査官が聞きます。

▲納税者

「はい、訴訟中です」

●税務署

「どのような内容で争っているのですか?」

▲納税者

「残業代の支払です」

●税務署

「未払いの残業代を払えというのですね?」

▲納税者

「そうなんです」

「当社は、残業は申請書を提出させて、上長の承認を取るルールになっているのですが、勝手に深夜まで残業したり、休日に勝手に出社したりしているのに、働いていたのだから残業代を出せと言うのです」

●税務署

「なるほど」

▲納税者

「とんでもない従業員なんです」

●税務署

「まぁ いろいろな人がいますからね」

▲納税者

「本当です」

「辞めてもらってよかったのですが、その従業員の経費の精算でも疑わしいものがあるらしいのです」

●税務署

「経費の精算で?」

ここでリーダー調査官の目がキラリと光りました。

納税者の一言で、調査官はピンときました。

「経費精算に不正があれば、会社が計上している経費が否認できる・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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