週刊税務調査日記

パブスナックの調査 (5)

第286号 2007/12/17

後日、場所をビルの一室にある事務所に移して帳簿調査が始まりました。

経理処理は、会計ソフトを使ってママさんが自らしています。

書類はキチンと整備され、経理処理も問題ないはずです。

調査官がレジシートや売上伝票と帳簿とを照合しても、何も問題点は出てきません。

しかし・・・

●税務署

「ん~ このバーボンウイスキーの在庫本数が合わないですね・・・」

▲納税者

「バーボンウイスキーのボトルの本数ですか?」

●税務署

「はい、そうなんです」

「期首のボトル本数に1年間で仕入れた本数を足して、それから販売した本数を引くと、期末に残っている在庫本数になりますよね?」

▲納税者

「ええ 確かに」

「どのくらい違いますか?」

●税務署

「50本くらいです」

▲納税者

「50本も違うのですか」

「在庫の数え間違いはないと思いますけれど」

●税務署

「在庫の数え間違いではなくて、その分売上が計上されていないのではないですか?」

▲納税者

「売上を計上していない?」

「ということは、私が50本のボトル分の売上を抜いて、ポケットに入れているということですか?」

●税務署

「まぁ そういうこともあるのかな、ということです」

▲納税者

「ちょっと あんた!」

「言うに事欠いて、私が売上代金を自分のものにしたというの?」

「もう 頭にきたわ!」

突然、携帯電話でお店に連絡しました。

「店長いるの? 早く出して!」

「バーボンウイスキーのボトルが50本足りないといわれているんだけれど、どういうことなの?」

「私が、その分売上をごまかしていると疑われているのよ!」

「分からないでは済まないわよ!」

「早く説明して!」

すごい剣幕でお店の店長を問い詰めています。

●税務署

「可能性があるというだけで、社長がどうこうということは・・・」

▲納税者

「何を言ってるの」

「私がネコババしたといったでしょう!」

ということで、事務所内は大騒ぎになってしまいました。

結局、原因は分かりません。

また、税務署から後日連絡するということでこの日の帳簿調査は終わりました。

ママさんの頭からは湯気が出ていました・・・・

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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