週刊税務調査日記

対立した調査 (11)

第99号 2004/2/23

約束した日時に税務署に行きます。

担当の調査官が出てきました。

●税務署

「だいぶ時間がかかりましたので、調査はこれで終了したいと思います」

■会計事務所

「何か問題点はありましたでしょうか?」

●税務署

「いいえ、特にこれといった問題点はないのですが、事業の経費となるかどうか疑問となる支払いがかなりあるように見受けられます」

■会計事務所

「そうですか」

●税務署

「そこでお願いがあるのですが、先生の方で必要経費とならない支払をピックアップしていただきたいのですが」

■会計事務所

「こちらで納税者に確認してピックアップするのですか?」

●税務署

「お願いできますか?」

■会計事務所

「変な感じはしますが、納税者に聞いてみます」

納税者の支払いが事業で使ったものであるのか、日常の生活のために使ったものであるのかの判断は難しいです。

使った本人が一番よく分かるので、こちらに放り投げたのでしょう。

結局、今回の調査で指摘されたのはこの件だけでした。

いったいこんなに時間を掛けて何を調査していたのでしょうか?

非常に疑問の残る調査です。

事業用として申告したものから「生活用である支払」をピックアップするのもおかしな話です。

納税者が「そんなものはない」と言えばもうそれまでです。

なんともおかしなこととなりました。

■会計事務所

「税務署が支払の中から生活用に使ったものをピックアップしろと言っていますが、どうしますか?」

▲納税者

「そうですか、そうすれば調査は終了するのですか?」

■会計事務所

「そうなるでしょう」

▲納税者

「それでは、事業に使ったのか生活に使ったのか分からない飲食代でもいくつかあげておきますかね」

そう言って交際費で処理されている飲食代をいくつかピックアップしました。

なんとも情けのない作業ですが、仕方ありません。

      To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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