週刊税務調査日記

税務署に頭を下げた調査(1)

第36号 2002/11/11

会計事務所を開業したての頃の税務調査です。

その当時はパートの女性社員と2人だけの事務所でした。

税務調査の連絡があり、指定してきた調査日が確か5月のゴールデンウィークの祭日と祭日の間と記憶しています。

「え~こんな日に調査するの~」と驚いたことを記憶しています。

こちらは家族サービスで休みたかったのに納税者もゴールデンウィークは暇だったみたいで、「別にいいですよ」と言われたため、ゴールデンウィーク中の税務調査となりました。

調査当日です。

納税者の会社に着くと、まだ税務署の人は来ていません。

「ピンポ~ン」とチャイムが鳴り、調査官のお出ましです。

●税務署

「○○署の税元です。」

■会計事務所

「宜しくお願いいたします」

さっそく調査が始まりました。

あまり雑談にのってきません。

なんか気難しそうな調査官です。やりにくいです。

この会社は、実質社長1人でやっているような会社で、規模は本当に小さいです。

このような小規模な会社にまで税務調査に来るのですから、調査対象の会社が少ないのかもしれません。

午前中の調査は無事終わり、食事をはさんで午後の調査の開始です。

総勘定元帳をめくりながら、その内容について質問してきます。

総勘定元帳とは、経理書類の中で中心的存在で、全ての取引が記載されている帳面です。

決算書である損益計算書や貸借対照表の各勘定の内訳明細といったもので、税務調査時にこれがないと話になりません。

税務調査の基本は、決算書の内訳明細である総勘定元帳が正確なものか、その作成の元となった領収書や請求書などの書類とチェックすることです。

調査官もまさにそのチェックをしています。

●税務署

「取引先に出した請求書の控えを見せてください」

総勘定元帳の売上高の明細と売上の元になる請求書の控えをチェックして売上計上の妥当性を検証しています。

基本的な作業です。

「決算後の請求書の控えも見せていただけますか?」

決算後の請求書の控えを見て、本来決算に入れ込まなければならなかった売上高がなかったかどうかの確認です。

「納品書も見せてください」

請求日が決算日後であっても、納品日が決算日前であれば、決算でその分を売上計上しなくてはなりません。

8月31日決算で、請求日が9月20日、商品の納品日が8月25日であったとすると売上は本来8月25日で計上しなければならないのです。

請求が9月だからといってもダメなのです。

              To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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