週刊税務調査日記

相続税の調査(6)

第35号 2002/11/4

税務署が「もう一度調査します」と言ってきました。

たぶんこちらにプレッシャーをかけてきているに違いありません。

このように税理士と税務調査官との間で心理戦になることは珍しくありません。

調査官は何とか認めさせて修正申告に持ち込みたい気持ちでいっぱいです。

一方の納税者も「税務調査なんか早く終わらせたい」と思っているものです。

楽しい税務調査なんてありっこないのですから。

しかし、この心理戦に負けてはならないのです。

完全に納税者側に税務上の非があるのであれば仕方ありません。

税法の解釈の違い、適用の程度といったいわばグレーゾーンに関しては主張することは主張し、納税者の利益を守る必要があります。

「もう一度調査します」と税務署が言った後にはしばらく連絡はありませんでした。

あちらも、こちらの出方を少し見ているのでしょう。こちらも何も連絡をしません。

そして、税務署から連絡がありました。

●税務署

「株の件で、修正していただけませんかね」

■会計事務所

「できません。明確な根拠が見当たりません」

●税務署

「困りましたね。」

■会計事務所

「ここは引き下がれないところです。そちらのご都合もあるかと思いますが、今回はこれで調査終了ということでお願いできないでしょうか?」とこちらの姿勢を低くします。

●税務署

「ん・・・先生からそう言われては・・・」

「仕方がありません。今回は株の件は問題にしません」

「調査はこれで終了します」

■会計事務所

「ありがとうございます」

これで今回の相続税の税務調査は終了です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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