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週刊税務調査日記

衣料品店の調査(2)

第29号 2002/9/23

通帳入金分について売上を計上してないブティックの税務調査です。

若い女性の調査官にとにかく話題を振って時間を稼ぐ作戦です。

■会計事務所

「趣味は何ですか?」

「誰のファンですか?」

などなど話題を振り掛け、時間を稼ぎます。

●税務署

「帳簿を見せていただけますか?」

とうとう本題に入ってきました。

▲納税者

「ハイこれです」

と言ってルーズリーフの帳面を調査官に渡しました。

■会計事務所

調査官がページをめくります。

そこですかさず、納税者に話し掛けます。

「お店に来るお客さんで変な人いませんか?」

▲納税者

「いるわよ。洋服をつけで買ってお金を払わない人が」

「もう信じられない」

■会計事務所

そこで調査官に向かって「お金を払わない人がいるんだって、ひどいよね」

と話しを振ります。

●税務署

「え~女の人でそんな人いるんですか?信じられない!」と話に乗ってきました。

こんなことを繰り返し 、さらにお茶出しに、お茶菓子出しをして時間を稼ぎました。

時間は刻々と過ぎて行きます。

すると突然。「通帳を見せていただけますか?」

とうとう来ました。最悪の状況です。通帳の入金記録とルーズリーフの帳面を見比べられたら、一発で売上計上漏れがバレてしまいます。

調査官は通帳だけをめくって見ています。

■会計事務所

「税務署に女性が増えましたよね」

「女性調査官の方が優秀ですよね」

「これからは女性の時代ですよね」

   などと機関銃のように話し掛けます。

まだ通帳だけを見ていて、帳面と突き合せることはしていません。

時計の針は、4時を回りました。

もう少し、もう少し。

●税務署

「あ、もう4時を回っちゃった。そろそろ帰らないと」

「話し込んでしまって、あまり調査できませんでした」

■会計事務所

「いや、そんなことないですよ。お疲れ様でした。」

●税務署

「帳面や領収書等を署に持ち帰りたいので、お借りできますか?」

よくあるパターンです。資料を税務署に持ち帰って、じっくり調査しようということです。

すると、納税者から一声ありました。

▲納税者

「なくされたら困るから、持って帰らないで」と強い口調で言い放ちました。

●税務署

あまりの口調の強さに女性調査官は「ハイ」というだけでした。

「また何かありましたらお問い合わせするかもしれませんが、本日はこれで失礼いたします」と言って去っていきました。

▲納税者

「あ~良かった」

■会計事務所

「あ~良かった」ではないですよ。

今回は、これでお咎めなしかもしれませんが 、申告はきちんとしなくてはなりません。

私だって、こんな調査の立会いはたまりません。

納税者にとっては「結果オーライ」ですが、こんなことがいつまでも通ると思ったら、大きな間違いです。

結局、この納税者の方とはこれっきりでした。

こんな調子では怖くてとても顧問などできません。

節税は許されますが 、脱税はダメです。

相当昔の調査でしたが 、若かったからできた調査の立会でしょうか。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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