週刊税務調査日記

相続税の調査(1)

第30号 2002/9/30

相続財産が大きくなるとかなりの確率で相続税の申告後に税務調査があります。

やはり大きな相続ですと、土地のちょっとした評価方法の違いでも、納税額が大きく変動しますし、相続財産の申告漏れも起きる可能性が高くなります。

今回の相続税の調査には、男女の調査官2名が来ました。

この相続税の申告はバブル期にあったため、都心の土地が相当高く評価された記憶があります。

相続税の調査の予告が税務署よりあり、納税者の自宅にて調査を受ける事となりました。

「ピンポ~ン」とチャイムが鳴り、調査官のお目見えです。

応接に通され、調査開始です。

まずは雑談から入り、そしていよいよ調査の開始です。

●税務署

「ご主人様の所有していた不動産の利用状況について教えてください。」

相続税の申告にあたって不動産の評価は一番重要なところです。

特に土地の評価は、その土地がどのように利用されていたのかによって評価方法が違ってきます。

土地の上に建物などの工作物が何もなく、かつ何も利用されていない土地を更地(さらち)と言います。

この更地の評価を100%としますと、故人が住んでいた土地の評価は20%もしくは50%となることがありますし、アパートに利用されている土地は80%になることがあります。

このように土地はその土地をどのように利用していたかにより評価額がまるっきり異なるため、当然納税者本人からその土地の利用状況を聞くわけです。

納税者の方は、土地の利用状況について聞かれることを説明しています。

調査官の1人が質問して、もう1人が納税者の回答を用紙にメモしています。

それも納税者の顔色やしゃべり方を凝視して注意深くメモしています。

調査官の質問の度に「本当のことを言っているのか」、「嘘を言っているのか」を見定めているようです。

●税務署

「差し支えなければ、ご主人様が利用していた手帳を見せていただけますでしょうか?」

▲納税者

「え、手帳ですか?」

■会計事務所

「何の目的で、手帳をご覧になるのですか」

故人のプライバシーもありますから。

●税務署

「・・・・」

■会計事務所

「奥さん、どうしますか?」

▲納税者

「別に構わないですけど・・・」

■会計事務所

「ではどうぞ、ご自由に見てください」

何か人の手帳を見るなんていやな感じ・・・

       To be continued. 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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