週刊なるほど!消費税

〔国内取引〕納税義務の判定_基準期間が1年未満の場合は?

第364号 2014/09/08

【先 生】

「さて、前回は『法人のその事業年度の前々事業年度が1年未満の場合、基準期間はどうなるのか?』というところで終わったのよね?」

【生徒♂】

「そうだよ。前々事業年度が1年未満の場合の基準期間は、確か・・・2年前の日の前日から同日・・・あと何だっけ??」

【生徒♀】

「あら、だらしないですわね?私はきちんと覚えておりますわよ。」

【生徒♂】

「またまた御冗談を・・・」

【生徒♀】

「前々事業年度が1年未満の場合の基準期間は、『その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間をいう』ですわ。」

【生徒♂】

「う~む・・・アリのくしゃみを見た瞬間よりもびっくりだね・・・」

【先 生】

「アリのくしゃみはさておき、具体的な事例を挙げて説明した方が分かり易いわね。」

【生徒♀】

「ええ、お願いしますわ。」

【先 生】

「例えば、次のような事業年の会社があると仮定するわね。」

【例】

(第1期)平成23年1月1日~平成23年12月31日

(第2期)平成24年1月1日~平成24年3月31日(決算期を変更)

(第3期)平成24年4月1日~平成25年3月31日

(第4期)平成25年4月1日~平成26年3月31日(当期)

【生徒♂】

「うん。」

【先 生】

「この場合、当期である平成26年3月期の納税義務を判定しようとした場合、単純に『前々事業年度』を基準期間として捉えると、第2期が基準期間に該当するわよね?」

【生徒♀】

「そうですわね。でも第2期は、決算期を変更しているから事業年度が3ヶ月しかありませんわ。」

【先 生】

「そうね。この場合はまさに『前々事業年度が1年未満』って事になるわ。」

【生徒♂】

「という事は、先ずは“その事業年度開始の日の2年前の日の前日”を特定する必要がある訳だね?」

【先 生】

「そのとおりよ。“その事業年度開始の日”は、平成25年4月1日だから、この日から“2年前の日の前日”というと何時になるか分かるかしら?」

【生徒♀】

「え~と・・・2年遡って・・・もう!分かりませんわ!」

【先 生】

「“2年前の日の前日”というのは、このケースの場合、“2年遡った応当日”である平成23年4月1日が該当するの。」

【生徒♀】

「なるほど・・・」

【先 生】

「で、この平成23年4月1日から“1年を経過する日”というと、“1年後の応当日の前日”が該当するの。だからこのケースだと平成24年3月31日が該当するわ。」

【生徒♂】

「という事は、このケースの場合の基準期間は、『平成23年4月1日から平成24年3月31日まで』の間に開始した各事業年度を合わせた期間って事になるんだね?」

【生徒♀】

「その期間中に開始した事業年度は、第2期である平成24年1月1日~平成24年3月31日のみだから、この第2期が基準期間に該当する訳ですわね?」

【先 生】

「正解!そのとおりよ。」

【生徒♀】

「じゃあ、第2期における課税売上高が、1,000万円以下であれば、当期である第4期は、納税義務が免除されるのですわね?」

【先 生】

「残念でした。そう単純にはいかないのよね。」

【生徒♀】

「まあ!何故ですの?」

【先 生】

「この基準期間となる第2期は、決算期を変更している為、その事業年度の月数が3ヶ月しかないでしょ?」

【生徒♂】

「うん、そうだね。」

【先 生】

「このように基準期間の月数が、1年未満の場合には、単純にその基準期間中の課税売上高を用いて判定してはいけないのよ。」

【生徒♀】

「では、どのように判定しますの?」

【先 生】

「では、今回はここまでとして、次回は、基準期間の月数が1年未満の場合も含めて、基準期間の課税売上高についてもう少し詳しくみていく事にしましょう。ではまた次回!ばいばい!」

アトラス総合事務所 税理士
大森 浩次
◆発行 アトラス総合事務所

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