週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(3)

第109号 2005/01/31

【先生】

 1月は今日で最終日。早くも1ヶ月が過ぎてしまいました。

【生徒】

 もう1ヶ月かぁ・・・いまだに年号がぱっと出てこないんですよね。平成16

年なのか平成17年なのか、2004年なのか2005年なのか。干支なんて既に

忘却のかなたです。

【先生】

 きてますね。老化現象の第1歩です。 

【生徒】

 だから自分の年も今年何歳になるのかよくわからなくて・・・

【先生】

 それにかこつけて年をごまかしたりしないように。

 さて譲渡等・仕入等の時期についてのお話ですが、今回はまず固定資産

について見ていきましょう。

【生徒】

 固定資産っていうと土地とか建物とか車両とかですよね。

【先生】

 それだけではありません。特許権や商標権、ソフトウェアといった無形固定

資産も固定資産です。

 これらの譲渡等の時期ですが、原則は棚卸資産などと同様です。

【生徒】

 出荷日や検収日、使用収益が可能になった日などで「合理的」な日ですね。

【先生】

 そうです。引渡し日として合理的と認められる日で、継続的に適用している

日です。

 「継続的」ですから合理的な日として認められる日が複数日あったとしても、

例えば今回は出荷日、今回は検収日というようにその都度変更するような

ことはできません。

【生徒】

 一度採用したら続けて使えってことか。

【先生】

 一度採用した日を変更する場合にも「合理的」な理由が必要ですね。

 固定資産でも土地や建物などの資産では、当事者同士がその資産の譲渡

契約の効力発生日を譲渡等の日としている場合には、これを認めることとさ

れています。

【生徒】

 いつから効力発生しますよって契約書に書いていれば、その日でOKって

ことですね。

【先生】

 その効力発生日が原則となるのが工業所有権等(特許権、実用新案権、

商標権等)です。

 これらはその譲渡・設定に関する契約の効力発生日に譲渡等が行われた

ものとされます。

 例外は「登録」です。権利には登録が必要な場合が多いですので、契約の

効力をその登録日としている場合には、登録日を譲渡等の日とすることも

認められています。

【生徒】

 権利とかは「物体」が存在しないから、契約に依存せざるをえませんもんね。

【先生】

 無形のなかでもノウハウの頭金等はまたちょっと違います。

 ノウハウは知識や技術資料、工程といった事業者が持つ独自の情報で、

特許のように登録制度がないものです。

 ノウハウは相手方に開示して使用料を受け取るだけでなく、開示時に一時

金または頭金として一定額を受け取る場合があります。

 この場合の譲渡等の時期は、原則としてノウハウの開示を完了した日と

なりますが、開示が2回以上にわたって行われ、一時金・頭金の支払いも

これに応じて分割して行われる場合には、それぞれの開示日を譲渡等の

時期とします。

【生徒】

 じゃぁ一時金や頭金を使用料の前受けってことにして、月々の使用料に

充当されることにした場合にはどうなるんですか?

【先生】

 一時金や頭金は、それが使用料に充当されることとされている場合でも、

前受金等として繰り延べることはできません。

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