週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(2)

第108号 2005/01/24

【生徒】

 なるほど!消費税は今回で108回目。ついに煩悩の数に到達ですね。

【先生】

 除夜の鐘が108回というのは有名ですが、これは1年間に作った煩悩

を、除夜の鐘を聞くことによって除き、清らかな心になって新しい1年を迎

える、という意味が込められています。

【生徒】

 ・・・除夜の鐘なんて最近全然聞いてないぞ・・・ということはここ何年か分

の煩悩が溜まりに溜まってるってことか・・・

【先生】

 まさに煩悩のかたまりですね。

 さて前回から譲渡等・仕入等の時期についてお話しています。今回は

請負の場合について見ていきましょう。

 請負については特に詳しく説明しなくてもいいですね?簡単な定義とし

ては、請負人がその仕事を完成させることを約束し、相手方がその仕事

の結果に対して報酬を支払うことを約することをいいます。

【生徒】

 自動車を修理してもらうとか、ゲームソフトを作ってもらうとか、エアコンを

掃除してもらうとか、人材を紹介してもらうとか、そんな感じですよね。

【先生】

 そうです。役務提供全般ですね。

 この請負契約にも「物の引渡しを要するもの」と「物の引渡しを要しない

もの」の2通りがあります。

【生徒】

 ソフト作ってっていうと物の引渡しがあるけど、掃除してっていうと引渡し

はないですもんね。

【先生】

 物の引渡しを要する場合、目的物の全部を完成して相手方に引渡した日

が原則となり、物の引渡しを要しない場合には、その約した役務の全部を完

了した日が原則です。

 ですが前回もお話しましたように、相手方が検収した日や使用収益が可能

になった日など、契約の内容や業界の慣習に応じて合理的と認められる日で

あれば、その事業者が継続して資産の譲渡等を行ったとしている日をそのま

ま引渡し日とすることもOKです。

【生徒】

 あくまでも「合理的」が前提ですね。

【先生】

 もちろんです。

 さて、ここで例外です。原則は「全部完成」「全部完了」となっていますが、

工事やソフト制作などの現場では部分完成基準が取られる場合が少なくあり

ません。

【生徒】

 部分完成基準?

【先生】

 例えばソフト制作では、制作途中の50%、80%といった時点で検収を行い、

OKが出れば検収時点までの売上金を収受することがあります。

 建設工事でも全部の完成を待たずに、部分的に完成したものをその時点で

引渡し、その部分にかかる売上金を収受したりします。

 制作・建設費用が多額になる場合などには資金的な面からもよく行われる

手法ですね。

【生徒】

 そうか。売上金が入るまでは先に自分が支払わないといけないから、金額が

大きくなるとヒジョーにキビシーってことか。

【先生】

 このような場合には、全部の完成を待って引渡し日とするのではなく、部分的

な完成・引渡しをもって引渡し日となります。

 例えば全体で1千万円の工事につき、50%と80%時点で部分完成基準をとる

とすると、50%時点で500万円、80%時点で300万円、100%時点で200万円が

売上又は経費・資産として計上されることになります。

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