週刊なるほど!消費税

輸入の際の消費税(4)

第105号 2004/12/20

【先生】

 いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。忘年会シーズン真っ只中です。

【生徒】

 週末はちょうとクリスマスと重なるから、街はとんでもないことになりそう

ですね。23日は祝日だし。

【先生】

 ボーナスもでましたから、かなりの人ごみでしょうね。お店も稼ぎ時です。

【生徒】

 でもサラリーマンの財布の紐は硬いみたいですよ。

【先生】

 来年は負担増が目白押しですから、今から自己防衛しているのかもしれ

ないですね。

 さて、輸入の際の消費税のお話ですが、今回は納税義務について見てい

きます。

【生徒】

 納税義務?以前納税義務者の話はしましたよね。基準期間の課税売上高

がとか・・・

【先生】

 そうですね。基準期間の課税売上高のほかに、課税事業者の選択や合併・

相続などの特例についてもお話しました。

 そもそもこの納税義務の話は、消費税が「間接税」であるということからきて

います。

【生徒】

 間接税っていうと、税金を払う人と納める人が違うっていうことですね。

【先生】

 そうです。

 消費税は消費者が税金を支払いますが、その支払われた税金を一旦預か

って国に納税するのは事業者です。

 ですが輸入の際の消費税ではこの原則があてはまりません。

【生徒】

 あてはまらない?

【先生】

 例えば私達が商品を外国から輸入した場合、輸入をした私達、消費税法的

に言えば保税地域から外国貨物を引き取った者が、その引取りに係る消費税

を、直接国に支払います。

 つまり「税金を支払う人=税金を納税する人」という直接税的な取扱になって

いるのです。

【生徒】

 でも、FEDEXとか乙仲からの請求書に「消費税」の項目があって、直接納め

てるっていえない場合もあるんじゃないですか?

【先生】

 そういう場合は2つのケースが考えられます。

1.単なる納税の代行

2.税金の価格への転嫁

 1の場合は、納税義務は確かに輸入をした私達にありますが、通関業者が

輸入者の手間を考え、自分達の報酬と一緒に税金を預かり、私達の代わりに

納税を代行してくれているという場合です。

 2の場合はちょっと複雑です。そもそも輸入の際の消費税は「課税貨物を保税

地域から引き取る者」にかけられるものです。

 もし業者が輸入品を自分の名義で輸入・引取りをし、その後に消費者へ販売

するという形式をとっていたとすると、引取りの際の消費税は通関業者が納める

必要があります。

 その場合には、名目では消費税となっていても単なる価格の一部を形成する

にすぎません。つまり、引き取りの消費税分だけ値上げしたということになるの

です。

【生徒】

 ということは、輸入の消費税も含めた全体が販売価格になるということだから、

もしかしてその全体にさらに5%がかけられるということ・・・・

【先生】

 そうです。実際に業者がそのような計算で消費者に請求するかどうかは別と

して、業者が輸入消費税ではなく通常の消費税を納めようとする際には、その

全体の金額が消費税の課税対象として計算することになります。

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