週刊なるほど!消費税

補足

第101号 2004/11/22

【先生】

 前回の発行100号記念の際には読者の方からおめでとうメールを頂き

ました。ありがとうございます!

【生徒】

 ありがとうございます!

【先生】

 新たな気持ちで101号からスタートです。今後もどうかひとつなるほど!

消費税をお見捨てなきよう・・・

【生徒】

 見捨てないでねぇ~

【先生】

 さて今回は新しいお話に入る前に、第70号で記載した敷金の取扱に

ついて、少し分かりにくいようなので補足説明をしたいと思います。

【生徒】

 非課税取引の「住宅の貸付」のところですね。

【先生】

 第70号では、

「退去時に修繕費名目で戻ってこない部分はどうなるんですか?」

「その場合には大家さんと借り手で分けて考える必要があります。

まず大家さんですが、入居者が退室した後に行った修繕のうち、入居者

の負担となる部分を敷金から差し引くということです。

 つまり入居者のかわりに支払った修繕費を入居者から徴収するという

だけですので不課税取引となります。

 大家さんが負担した修繕費はもちろん課税取引となります。」

 とお話しました。

【生徒】

 敷金の返却自体は不課税取引ですよね。

【先生】

 そうです。ここでは返却しない部分の取扱です。

 分かりやすいように数値例を出してみましょう。

 大家さんは住宅の敷金として30万円預かっていました。

 入居者が退去し、退去後の部屋の修繕を行いました。かかった修繕費

は全部で50万円です。

 そのうち入居者が負担すべきものが20万円でしたので、大家さんは

敷金から20万円を差し引き、残り10万円を返却しました。

【生徒】

 だと、修繕費のうち大家さん負担が30万円、入居者負担が20万円って

ことですね。

【先生】

 そうです。

 まず入居者負担の20万円ですが、これは入居者が支払うべき20万円

を大家さんが立替えて支払っているだけです。その代金を敷金から差引

いているということです。ですから大家さんとしてみれば、この20万円に

ついては不課税取引となります。

 簿記を知っている人は仕訳を考えると分かりやすいでしょう。

修繕費支払時

(借方)修繕費 30万円  (貸方)現金 50万円

    立替金 20万円

敷金返却時

(借方)敷金 30万円  (貸方)立替金 20万円

                    現金  10万円

大家さんが課税取引となるのは修繕費の30万円だけです。

【生徒】

 なるほど。

【先生】

 但し、立替金として処理するのが面倒という場合に、次のような処理も

あります。

修繕費支払時

(借方)修繕費 50万円  (貸方)現金 50万円

敷金返却時

(借方)敷金 30万円  (貸方)収入  20万円

                    現金  10万円

修繕費を支払ったときに全額費用計上し、敷金返却時に返却しなかった

ものを収入(売上)とするものです。

 この場合、修繕費の50万円と収入の20万円が課税取引となります。

【生徒】

 どちらの処理が正しいのですか?

【先生】

 継続適用していればどちらでもOKです。

 まだお話していないところですが、原則課税(預かった消費税から支払った

消費税を差引いて税額を計算する方法)を採用していればどちらでも税額は

代わりません。

 但し、簡易課税(預かった消費税に一定率を掛けて税額を計算する方法)

を採用している場合には、全額課税取引とした後者では納税額が多くなって

しまいます。

 そのため、70号では立替金処理を前提にお話ししました。

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