週刊税務調査日記

どうしても納得がいかない調査 (7)

第325号 2008/11/21

険悪なムードの中での調査となりました。

会社はしっかりとした経理をしていますのでなかなか指摘事項が出てきません。

しかし、外注費のチェックをしていたときにひとつだけミスを指摘されました。

●税務署

「この外注費の支払いですが、源泉徴収税額に問題がありますね」

▲納税者

「えっ 何ですか?」

●税務署

「デザイナーのAさんに支払っている報酬ですが、これではダメです」

▲納税者

「ちゃんと報酬額の10%を源泉徴収していますが・・・」

●税務署

「報酬額が100万円を超えていますよね?」

▲納税者

「ええ・・・」

●税務署

「1回の報酬の支払額が100万円を超える場合には、100万円超の額に対して20%の税率で源泉徴収が必要なのです」

▲納税者

「そうなんですか・・・知らなかった」

■会計事務所

「確かにそうです」

「しかし、金額も僅少なことだし、特にこれだけを取り出して問題にする必要はありますか?」

●税務署

「いや、あります」

「法律で決まっていることですから」

■会計事務所

「支払先のデザイナーの方は、確定申告をしているのですよね?」

▲納税者

「それはしっかりとした人ですので、間違いなくやっています」

■会計事務所

「それなら税金の精算も終わっているわけですから、敢えて問題にしなくても良いのではないですか?」

●税務署

「そうは行きません」

「まぁ、署へ持ち帰って検討するということで、本日は・・・」

結局、散々調査した挙句、この源泉税の問題だけを指摘して調査官は帰りました。

欠損金の繰り戻し還付の問題と、役員報酬の問題はどうなったのでしょうか?

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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