週刊税務調査日記

違法な調査?

第240号 2007/1/9

明けましておめでとうございます。

本年も週刊税務調査日記を宜しくお願いいたします。

情報公開されている税務署内部の資料に「違法な調査」というコラムがありましたので紹介しましょう。

◆税務職員には質問検査権という職務権限があり、質問検査権を行使する行為が税務調査です。

 この行為が社会通念上の相当性を逸脱し、受忍義務を超える違法調査

 と判断された場合には、この調査の結果行われた処分も違法となること

 に留意する、とありました。

<コメント>

 違法な調査に基づいて行われた処分も違法ということです。 

◆判例で、税務職員の質問検査権の行使が違法とされる場合として、次の2つを挙げています。

 ・納税者の営業を妨害した場合。

 ・納税者の名誉や信用が著しく毀損された場合。 

<コメント>

 イメージしにくい抽象的なケースを挙げていますね。

◆判例で違法な質問検査権行使の行為であるとされたもの

 <事実関係>

 調査官が納税者の女性従業員が所持していたバックの検査を要求した

 ところ、女性従業員は繰り返し拒否していた。

 にもかかわらず、調査官は半ば強引にバックをとって中を開け、内容物

 を調べた。

 <判決>

 女性従業員の承諾のないまま、女性のバックの内容物、特に手帳の中

 身などは、一般に他者には知られたくないもので、プライバシー保護の

 要請が特に強いものであるから、社会通念上の相当性を欠くものであり、

 違法な質問検査権行使の行為である。

<コメント>

 最近、調査官がパソコン内の情報を見せて欲しいといった要求がある

 が、パソコン内の情報はいまや手帳以上にプライバシーに関する情報

 が入っています。

 納税者の許諾なしに調査官がパソコン内の情報を見たら、やはりこれ

 も違法な調査になるのでしょうね。

◆判例で違法な質問検査権行使の行為であるとされたもの

 <事実関係>

 1階が店舗で2階が居住部分の納税者の家で、調査官が居住者の承

 諾を得ないで2階に上がってしまった。

 <判決>

 居住者の拒絶の意思に反して居住部分に立ち入ることが許されないこ

 とは明らかであるから、調査官がとった行為は社会通念上の相当性を逸

 脱した違法な行為である。

 <コメント>

 仕事に対する使命感とはいえ、他人の家に許可もなく入ってはいけませ

 んよね。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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