週刊税務調査日記

貸倒れをめぐる調査 (1)

第206号 2006/4/24

私どもの事務所のお客様の数がかなり多くなってきたことから、昨年に比べて税務調査の件数が今年はかなり多いです。

私が「税務調査なんか怖くない!」という本を出版したことも原因ではないかといった意見もあります(実際そんなことはありません)。

今年に入って10社くらいの調査がありましたが、修正申告をしたのは3社ほどです。

ほとんど大きな問題なく調査は終了しています。

よく「おみやげ」ということを聞きます。

税務調査が早く終わってもらうために、いくらかの否認事項をあらかじめ用意しておくといったことのようです。

そんなものは必要ありません。

税務調査をして何も否認事項がなければ、税務署は何もなしで調査を終了します。

不必要な税金は払う必要はありません。

さて、今回は人材派遣会社の税務調査です。

●税務署

「税野と申します」

なかなかの男前の調査官です。

年齢は20台の後半でしょうか。

スーツをきちっと着こなし、どこかの会社の営業の人かと思いました。

会社の概況を聴取して、本格的な実地調査の始まりです。

「総勘定元帳を見せてください」

▲納税者

「はい、分かりました」

●税務署

「この支払いの内容を教えてください」

▲納税者

「え~それは政治家主催のパーティーの参加費です」

●税務署

「そのパーティーには誰か参加されましたか?」

▲納税者

「いいえ 確か誰も行かなかったと思います」

●税務署

「そうですか」

「するとこの支払いは、交際費ではなくて寄付金になってしまいますよ」

▲納税者

「はぁ そうなんですか」

●税務署

「えーと条文は確か・・・」

そう言って税法の条文集をかばんから取り出して、条文を調べ始めました。

条文集は、かなり使い込まれているようで、この調査官はかなりやる気のある調査官であることが覗われます。

調査官によっては、「税務署も上がつっかえていて、昇進の望みもないし」とか言って、あまりやる気のないような人もいます。

しかし、この調査官は違います。

かなり、やる気がありそうです。

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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