週刊税務調査日記

いろいろあった税務調査 (1)

第140号 2004/12/13

顧問をしている飲食業の会社に税務調査に入りたいとの連絡が、税務署よりありました。

「やはり来たか」という感じです。

この会社は直前期に大家の都合で店舗の立ち退きがありました。

この立ち退きに伴い、多額の立ち退き料が会社に支払われました。

会社が受け取った立ち退き料は、会社の収入になって税金の対象になります。

そこで、このままでは会社で多額の納税が発生するため、その対策として、代表者である社長に退職してもらって、役員退職金を計上することになりました。

立ち退き料という収入に対して、役員退職金という経費を計上して、納税額を少なくしようということです。

決算書には、多額の立ち退き料収入と役員退職金が計上されるため、目立つこと、この上ありません。

「この決算書を見れば、税務署が飛んでくるだろうな・・・」と思っていました。

ですから、「やはり来たか」という感じなのです。

税務署からの電話です。

●税務署

「9月のジュウイチニチに調査にお伺いしたいのですが、よろしいですか?」

■会計事務所

「納税者に都合を聞いてみますので、折り返しお電話します」

納税者に聞いたところ9月のジュウイチニチでOKでした。

さっそく税務署に連絡します。

■会計事務所

「9月のジュウイチニチでお願いします」

●税務署

「9月のジュウイチニチにお伺いします」

この「ジュウイチニチ」があとでトラブルの原因になります。

調査当日の9月11日です。

10時少し前に会社に到着しました。

まだ、税務署の調査官は来ていません。

経理担当者とコーヒーをすすりながら談笑します。

10時半になっても調査官は来ません。

■会計事務所

「おかしいですね」

▲納税者

「怖気づいたんですかね?」

■会計事務所

「はぁ、はぁ は・・・」

「税務署に電話をしてみましょう」

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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