週刊税務調査日記

国税局OB先生立会いの税務調査 (8)

第139号 2004/12/6

OB先生が税務署の肩を持つようになったと、経理担当者が言っています。

■会計事務所

「OB先生が税務署の肩を持つとはどういうことですか?」

▲納税者

「ええ、税務署から指摘された事項についてOB先生に連絡したら、なんか様子が変なんですよね」

「それは指摘されても仕方がないとか、修正申告したほうがよいのでは」とか言い出してきたんです。

■会計事務所

「へぇ~、そうなんですか」

「明らかな間違いならともかく、このような指摘事項では修正申告なんかに応じられませんよね」

▲納税者

「ええ、絶対に応じられません」

「OB先生に何かあったのですかね?」

■会計事務所

「あったのかもしれませんね」

しかし、驚きました。

調査官に何も言わせないプレッシャーを与えていたOB先生に何があったのでしょうか。

完全に税務署サイドに寝返ってしまったのでしょうか?

その後、税務署からもう半日だけ調査したい旨の連絡があり、その場に立ち会うことになりました。

追加の税務調査の当日です。既に調査官とOB先生も会社に来ていました。

な、なんと・・・今日の統括官の態度が違います。

OB先生の前で、ソファに背中をドッカリ付けて、足を組んで、タバコを吸って座っています。

会話もほぼ対等です。

◆OB先生

「国税局の○○君は元気になったのかな?」

●税務署(統括官)

「ええ、彼はもう元気ですよ、ハハハッ」と余裕の受け答えです。

おそらく、国税局の方からOB先生に対して何らかの苦言でもあったのでしょうか?

なんかよく分かりませんが、OB先生の立場が逆転し始めていることに間違いはないようです。

半日だけの調査も終わりました。

若い調査官は、相変わらず以前指摘した事項について詳しい説明を求めていました。

■会計事務所

「お疲れ様でした」

▲納税者

「いや、なかなかうまい回答ができなくて・・・」

■会計事務所

「OB先生もなぜか統括官と一緒に帰ってしまいましたね」

▲納税者

「何なんですかね、まったく!」

「先生、最後まで宜しくお願いします」

■会計事務所

「私は寝返ることはないから安心してください」

その後、国税局とかなりのやり取りはありましたが、結果として追加で税金をとられることはありませんでした。

OB先生は、あまり役に立ちませんでした。

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公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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