週刊税務調査日記

対立した調査 (1)

第89号 2003/12/1

個人事業を営んでいるAさんに税務調査をしたい旨の連絡が税務署からありました。

個人事業に対する税務調査は法人に対する調査に比べると、件数は少ないです。

また、法人であれば会計記録もある程度整備されているのですが、個人事業ですとあまり整備されていないことが多いのも事実です。

約束した調査当日です。

●税務署

「○○税務署の××です」と名刺を出します。

名刺には上席調査官と書かれています。

一般の会社でいえば係長クラスでしょうか。

■会計事務所

「よろしくお願いいたします」と名刺交換をします。

一見するとチョッと神経質そうな感じの調査官です。

午前中は事業の概況と事業主の個人情報などを聴取しています。

何事もなく午前の調査は終了し、お昼となりました。

調査官が食事に外出しました。

▲納税者

「先生、一緒に食事に行きましょう」と外に出ました。

「先生久しぶりですね。なんかおいしいもの食べましょう」と言って一見高級そうな門構えの料理店に入りました。

和室の個室に案内されました。

「ランチのコース2つ!」とお昼のコース料理を注文しました。

「先生ここのランチはうまいんですよ」

「ビールはダメですよね?」

■会計事務所

「ダメです」

▲納税者

「なんか神経質そうな調査官ですね?」

■会計事務所

「そんな感じですね」

こんな雑談をしていても、料理が来ません。

時計を見るともう12時30分を回っています。

「食事遅いですね」

▲納税者

「うん、コースを頼んだからね」

も~、無頓着な性格。この調子では1時までに事務所に戻れません。

したがって調査官も事務所に入れないわけです。

▲納税者

「ああ、やっと来たよ先生」

12時45分、茶碗蒸しまで付いたランチが到着です。

■会計事務所

「早く食べないと調査官が事務所に入れませんよ」

▲納税者

「入れなかったら待っているんじゃないですか?」

ハ~、何を考えているんだろう、この人は・・・

      To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為