週刊税務調査日記

特別の目的のあった調査(2)

第26号 2002/9/2

退職した前社長のことをしきりに聞いてくる調査官、前社長と業者との癒着の情報を握っているのでしょうか・・・

●税務署

「領収書等の帳票ファイルを見せてください」

と調査官は現金や振込みで支払った領収書や請求書のファイルを要求してきました。

■会計事務所

ずいぶん細かいところを見るな・・・

通常はあまり領収書のファイルなんか調査では見ないのに 、調査官が2人がかりでファイルを1枚1枚めくっています。

何が目的なのでしょうか。

そうこうしている内にもう5時近くになりました。

●税務署

「もう5時になりますので、本日の調査は終了したいと思います」

と言って 、ほとんど何の指摘もなく1日目の調査は終了しました。

▲納税者

「先生、何が目的で領収書のファイルをしらみつぶしに見ているのですかね?」

■会計事務所

「ん~。私にもわかりません。なぜですかね。」

本当になぜ領収書をチェックしているのか不思議です。それも1枚1枚。

そして、次の日です。

●税務署

「社長さんは今どちらにいらっしゃるのか本当に分からないのですか?」

と、またしつこく聞いてきました。

▲納税者

「はい、本当に分かりません」

●税務署

「そうですか」と言って、また領収書のファイルを見始めました。

見ていると、現金で払った領収書を丁寧に見ています。

これは明らかに現金支払の不正に関する何らかの情報を持っているようです。

それも前社長に係る情報を。

●税務署

「会社でお中元やお歳暮はどこのデパートを使っていますか?」

▲納税者

はい伊勢丹を使っています。

●税務署

「伊勢丹ですか・・・」

何のために通常使っているデパート名を調査官は聞いたのでしょうか。

「なぜだろう・・・・」

「あっ」と私は頭の中で叫びました。

理由が分かったのです・・・

              To be continued. 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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