週刊節税教室

税制改正の方向

所得税・相続税
第305号 2007/11/26

☆質問

「新聞に平成20年度の税制改正の方向付けのような記事が出てい

ました」

★回答

「先週発表された税制調査会の答申のことですね」

☆質問

「内容について教えてください」

「まず、個人の所得税について」

★回答

「配偶者控除と配偶者特別控除の見直し(縮小)が提案されています」

「これらは、配偶者の就労の中立性を阻害するなどの理由から見直し

が提案されています」

「扶養控除と特定扶養控除の見直し(縮小)も提案されています」

「所得要件さえ満たせば年齢に関係なく扶養控除の対象となることが

問題であること、特定扶養控除の対象となる16歳以上23歳未満の

子供だけに教育費がかかるわけではないこと等により、制度の見直

しが提案されています」

☆質問

「給与所得についても触れていましたよね?」

★回答

「そうです」

「給与所得者の必要経費相当額である給与所得控除額について、現行

では上限が設けられていませんが、上限が必要ではないかという意見と、

必要経費の実額を認めた特定支出控除の対象範囲等の拡充も提案され

ています」

☆質問

「退職金についてもありましたよね?」

★回答

「退職金の支給形態の多様化と退職金税制を利用した税負担の回避

があることから、退職所得控除額の見直し(縮小)や、退職金にかかる

所得の2分の1にしか課税されない税金計算の仕組みを見直す(縮小)

提案がなされています」

「しかし、重要な人生設計上の期待にも関わる問題となることから、所

要の経過措置も必要とされています」

☆質問

「相続税関係はどうですか?」

★回答

「現在、5千万円に法定相続人1人当たり1千万円を加えた額が、相続

税の基礎控除として一律に適用されていますが、この引き下げが提案

されています」

「地価がバブル期以前の水準まで低下していることと、相続人が多いほ

ど基礎控除額が多くなることなどから提案されています」

以上のすべてが、12月の中旬に発表される税制改正大綱に反映され

るかどうかは分かりませんが、大きな流れであることは間違いありませ

ん。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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