週刊節税教室

非上場株の贈与-税制改正から(2)

相続税・贈与税
第265号 2007/1/29

☆質問

「自社株贈与における相続時精算課税制度の利用についての説明を、先

週に引き続きお願いします」

「先週は、会社の株価が将来上昇するのであれば、早期での贈与が有利

であるとのことでした」

★回答

「そうですね」

「相続時精算課税制度により贈与した株は、将来の相続時においても贈与

時の評価額で相続財産に取り込まれますから、株価上昇による相続財産

の増加をその分だけ停止することができるわけです」

☆質問

「その他に贈与のタイミングとして考えたほうがよいことはありますか?」

★回答

「スポット的に会社の業績が極端に落ち込んだときは、自社株贈与のチャン

スです」

「株価が安くなりますから、贈与によりたくさんの株数を子供に移せるわけ

です」

☆質問

「なるほど」

「ところで、相続時精算課税制度を利用して贈与した自社株は、将来の相

続時に相続財産として取り込まれますが、それでも相続税の基礎控除以

内におさまって、相続税自体が発生しない場合はどうなるのですか?」

★回答

「現行の相続税法では、5,000万円に法定相続人1人当たり1,000万円を

加えた額が基礎控除額です」

「たとえば、法定相続人が2人ですと基礎控除は7,000万円になります」

「改正案の相続時精算課税制度で自社株3,000万円を子供に贈与して、

将来相続が起きたときに、その自社株も含めて相続財産が7,000万円以

下であれば相続税はかかりません」

☆質問

「早めに子供に無税で贈与できたことになりますね?」

★回答

「そうです」

「早めに自社株を子供に贈与して、その会社が高額な配当をし続ければ

、配当は子供が受け取ることになり、年数をかければかなりの財産を子

供に移転することもできます」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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