週刊節税教室

親の土地に法人が建物を建てる (1)

法人税・相続税
第207号 2005/11/21

☆質問

「父親が持っている土地の上に、子供である私が所有する会社で、ア

パートを建てようと思っています」

「何か税務上で問題になることはありますか?」

★回答

「あります」

「借地権の問題です」

☆質問

「借地権?」

★回答

「土地に対する権利について、大きく所有権と借地権に分かれます」

「所有権は、その土地の持ち主であり、土地の登記名義人です」

「一方、借地権とは、その土地の持ち主ではないが、その土地を独

占的に使用することができる権利のことです」

☆質問

「その土地を独占的に使用できる権利ですか・・・」

★回答

「そうです」

「お父さんの土地にあなたの会社でアパートを建てたら、その土地は

あなたの会社が独占的に使用できますよね?」

☆質問

「ええ、確かにそうなります」

「すると私の会社が借地権を取得することになるのですか?」

★回答

「そうです」

「そして、本来であれば借地権の対価としてお父さんにお金を支払わ

なければならないのです」

☆質問

「え~ そんなお金はありません」

★回答

「借地権の代金をお父さんに支払わなくても、事実としてあなたの会社

所有の建物がお父さんの土地の上に建ったら、あなたの会社に借地

権が帰属することになるのです」

☆質問

「へ~ お金も支払っていないのに、私の会社が借地権を取得するなん

て、すごいですね?」

「何か儲けた感じですね・・・」

★回答

「そうです」

「あなたの会社は、タダでお父さんから借地権を譲り受けたことになり

ます」

「つまり、お父さんが借地権をあなたの会社に贈与したことになるので

す」

☆質問

「タダより怖いものはないと言いますから、いやな予感がします」

★回答

「そうです、予感的中です」

「あなたの会社は、お父さんから借地権を贈与されたのですから、何

もしなければ、借地権の受贈益という収益が計上されてしまいます」

☆質問

「いくらくらいの受贈益が会社で計上されるのですか?」

★回答

「お父さんの土地の時価が1億円で、その地域の借地権割合が70%の

場合、7千万円の受贈益が会社で計上されます」

☆質問

「ヒィエ~」

「そんなに会社で利益が出たら、とても税金を払えません」

「何とかしてください」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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