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週刊節税教室

不動産の売却、相続前後 どっちが得?

所得税、法人税
第203号 2005/10/24

☆質問

「父が余命1年くらいと医者に言われています」

「父は先祖代々引き継がれた不動産をかなり所有していますので、相続が

あった場合には、相続税が多額にかかってきます」

「現在、父所有の不動産を購入したいという申し入れがあります」

「今売却した方がよいのか、相続をした後に売却した方が得なのか、教えて

ください」

★回答

「先祖代々の不動産ということで、おそらくその不動産の取得価額は不明

でしょう」

「そうすると、売却金額の5%がその不動産の取得価額となります」

「不動産の譲渡所得は、売却金額-取得価額 で計算されますので、売

却価額-売却価額×5%となり、売却価額の95%が譲渡所得になります

(相続した不動産の登記費用などがあれば、譲渡所得から引けます)」

「現在の長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日で所有期間が5年超)の税率

は、国税15%、地方税5%の合計20%です」

「したがって、この不動産の譲渡にかかる税金は、長期譲渡所得×20%で

計算されます」

☆質問

「1億円で不動産を売却した場合を例にして具体的に教えてください」

★回答

「相続した不動産の登記費用は無視して計算します」

「1億円-1億円×5%=9,500万円 が長期譲渡所得です」

「9,500万円×20%=1,900万円が税金です」

☆質問

「この税金が、相続前に不動産を売却した場合の税金と考えてよろしいの

ですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「では、相続後の不動産譲渡の税金はどうなりますか?」

★回答

「相続後に不動産を譲渡する場合は、その不動産は相続税の対象になり

ます」

「しかし、その不動産に係る相続税相当額は、相続後の不動産の譲渡に

おける譲渡所得の計算上、取得価額に加算することができます(相続税の

申告期限の翌日から3年を経過する日までに譲渡することが必要)」

☆質問

「売却価額1億円で、取得価額に加算する相続税が3,000万円とすると、

不動産譲渡の税金の計算はどのようになりますか?」

★回答

「1億円-(1億円×5%+3,000万円)=6,500万円 が長期譲渡所得で

す」

「6,500万円×20%=1,300万円が税金です」

☆質問

「相続後の方が得ですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「しかし、相続税はどちらが得なのですか?」

★回答

「相続前に売却した場合は、売却代金1億円から譲渡所得税1,900万円を

差し引いた8,100万円が相続税の対象になります」

「売却不動産の相続税評価額も売却価額と同額の1億円として、相続税率

30%だとすると相続前に売却した場合の、その譲渡所得税差し引き後の

売却代金にかかる相続税は、8,100万円×30%=2,430万円になります」

「一方、相続後に売却した場合の、不動産にかかる相続税は1億円×30%

=3,000万円になります」

「その結果、譲渡所得税1,900万円に相続税率30%を掛けた額である570

万円だけ、相続前に売却した場合の方が相続税が安くなります」

☆質問

「で、結局どちらが得ですか?」

★回答

「譲渡所得税は、相続後に売却した方が1,900万円-1,300万円=600万

円得になります」

「相続税は、相続前に売却した方が570万円得ですから、600万円-570

万円=30万円だけ相続後に売却した方が得であったことになります」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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