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週刊節税教室

個人所得税の見直し(1)

所得税
第183号 2005/5/30

☆質問

『政府税制調査会で審議している個人の所得税の見直しの方向

性が見えてきたと、新聞に書いてありました』

『どのような方向性なのですか?』

★回答

まず、給与所得控除の圧縮です。

☆質問

『給与所得控除って何ですか?』

★回答

給与所得者に認められている、給与金額に応じた必要経費相当

額です。

☆質問

『実際にサラリーマンが仕事で必要な経費を使ってなくっても

認められている経費と考えればよいのですか?』

★回答

そのとおりです。

この給与所得控除額が圧縮されるということです。

☆質問

『ということは、必要経費額が少なくなるわけですから、増税

になるということですね?』

★回答

そのとおり。

しかし、この給与所得控除の圧縮は、増税ということだけでな

く、広く行われている節税全般に大きく影響する問題です。

☆質問

そんなに大きな問題なんですか?

★回答

よく「法人を設立すれば節税になる」ということを聞くと思い

ますが、このからくりは給与所得控除にあるのです。

個人事業では「収入-経費=所得」で所得が計算されますが、

これを法人にして、個人事業での所得を全額給与として個人が

受け取るとすると、結果的に個人の所得は次のように計算され

ます。

  「収入-経費-給与所得控除=所得」

つまり、個人事業を法人にして、個人事業の所得相当額を全額

給与でもらうと、給与所得控除額だけ個人の所得が少なくなる

のです。

☆質問

『なるほど、そういうからくりなんですか』

★回答

給与所得控除が圧縮される見返りとして、「特定支出控除」の

対象を広げることも検討されるみたいです。

☆質問

『特定支出控除って何ですか?』

★回答

給与所得者が支出する通勤費、転居費、研修費、資格取得費、

帰宅旅費などの勤め先の職務遂行に直接必要な支払を特定支出

と言います。

この特定支出が給与所得控除の額を超える時には、特定支出を

給与収入から控除して確定申告することができるというもので

す。

☆質問

『なるほど、実際にかかった経費を給与所得控除の代わりに使

える制度ですね』

★回答

そうです。

しかし、実際にはほとんど使われていない制度です。

特定支出の対象範囲を広げても、その支払が勤めている会社にと

って本当に必要な支払なのかどうかは、税務署との間で揉め事の

種になることは間違いないですね。

税務署も現在の人数で手一杯の状態ですので、果たして対応でき

るのでしょうか?

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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