週刊節税教室

株式投資は法人 or 個人?

法人税、所得税
第66号 2003/1/13

☆質問

『株式投資をはじめようと思っていますが、私が経営している法人でするか、私

個人でするか迷っています。いずれが税金上有利ですか?』

★回答

結論としては個人で投資するのが有利です。

☆質問

『それはなぜですか?』

★回答

まず、税率の違いです。

平成15年の税制改正により個人の株式投資による利益に対しては10%の税率

が課されます。

一方、法人では株式投資による利益は本業の利益と一緒に40%ほどの税率が

課されます。

☆質問

『なるほど、よく分かりました。株式投資によって損失が出た場合はどのような違

いがありますか?』

★回答

個人で株式投資をして1年間利益と損失を合計してその結果損失が発生した場

合、去年までの税制では、その損失はその年で切り捨てられていました。

つまり、翌年以降の株式投資の利益と損失を相殺することができなかったのです。

一方、法人で株式投資の損失が出た場合には、その損失は本業の利益と相殺

され、それでも損失が残れば翌期から5年間繰り越して将来の利益と相殺する

ことができます。

この点で法人の方が有利だったのですが、税制改正により個人でも株式投資に

よる損失を3年間繰り越せるようになりました。

つまり、3年間の間に生じた株式投資の利益と相殺できるようになったのです。

☆質問

『法人は株式投資による損失を本業の利益と相殺できるのに、個人では株式投

資による利益としか相殺できないのですね?』

★回答

そのとおりです。

個人は株式投資による所得は分離課税ですので、他の所得と相殺したりする

ことはできないのです。

☆質問

『なるほど、よく分かりました』

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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