週刊節税教室

役員報酬と役員賞与

法人税
第3号 2001/10/15

☆質問

 『役員報酬と役員賞与の税法上の取扱の違いは何ですか?』

★回答

  役員賞与は全額が損金不算入となります。

  役員賞与を100万円払った時には、税率を40%とした場合、

  100万円×40%=40万円が税金となります。 

  一方役員報酬は全額が損金算入されますので、役員報酬を100万円

  払った場合には、役員賞与より40万円得になります。

☆質問

  『通常の報酬でも賞与とみなされる場合があると聞いたのですが?』

★回答

  役員報酬の原則は「定時・定額」です。

  そのため、定時以外に支払われるもの(通常の賞与など)や、定額と認め

  られないもの、例えば毎月報酬額が変動している場合、特に増額された

  部分などは、賞与としてみなされてしまいます。

☆質問

  『実務としてはどのように対応したら良いのでしょうか』

★回答

  以下のような対応が考えられます。

 (1)賞与を含んだ総額で年棒制とする(月額報酬は年棒の1/12)。

 (2)役員報酬の増額は年2~3回程度の変更が可能なので、利益が増えた

  場合には、賞与ではなく役員報酬の増額とする。

 (3)役員報酬を増額した際には、株主総会議事録、取締役会議事録を作成・

  保存する。

  実務では、株主総会で報酬の上限を決め、具体的金額は取締役会で

  機動的に決めることが多いようです。

 決算期数ヶ月前に利益増加の見込みとなった場合には、賞与を支払うより、

 機動的にその月以後の役員報酬を増額する、といったことが実務的な節税

 の対応です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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