週刊なるほど!消費税

納税額の計算(8)
原則課税

第133号 2005/08/01

【先生】

 名古屋国税局の調査部総括主査が企業227社分の申告所得や税務調査

結果などを記載した内部資料を紛失したそうです。

【生徒】

 酔っ払って駅前のベンチで朝まで寝てたんでしょ?そりゃカバン盗んでくれ

って言ってるようなもんだよなぁ。。

【先生】

 内部資料の持ち出しは原則禁じられているはずです。しかもこの主査は6年

前にも内部資料を持ち出して紛失しているそうです。

【生徒】

 ・・・処置なしですね。税務調査で書類なくしたなんて言ったら、調査官の人

すごい怒るのに・・・

【先生】

 税務署への風当たりが強くなるでしょうね。マジメに働いている他の署員の人

にも迷惑です。

 さて、前回に引続き課税売上割合のお話です。今回はさらに特殊な例について

見ていきます。

【生徒】

 特殊?

【先生】

 そうです。これは2つあり、非課税資産の輸出等を行った場合と、国内以外の

地域における資産の譲渡等のため又は国内以外の地域における自己の使用の

ため資産を輸出した場合です。

【生徒】

 どちらも輸出がらみですね。

【先生】

 まずは非課税資産の輸出等を行った場合から見ていきましょう。

 非課税資産の輸出等を行った場合、本来であれば非課税売上として課税売上

割合の分子に加算されますが、特例として分母にも加算できるとされています。

【生徒】

 分母と分子両方に加算ですか?それなら課税売上割合が高く計算されることに

なりますよね。

【先生】

 そうです。課税売上割合が高くなるということは、預った消費税から控除される

消費税が多く計算されることにつながるので、事業者に有利な規定となっています。

【生徒】

 事業者が有利になるのはうれしいけど、なぜそんな規定があるんですか?

【先生】

 これは極めて政策的な理由からです。

 つまり、以前お話したように非課税資産譲渡のために支払った消費税は原則として

控除することができません。その分は事業者が負担することになります。

 そうすると事業者としてはその負担を少なくしようとして価格自体に転嫁しようと

します。

【生徒】

 値上げするってことですね。

【先生】

 国内ではまだしも、輸出取引つまり海外での販売では消費税分だけ国内の事業者の

価格が高くなれば、他国の業者よりも価格競争力が劣ることになります。

 そこで課税売上割合の計算や、今後お話しする予定の仕入税額控除の計算で控除

を認めることで、輸出業における競争力の維持を図っています。

 自国の税金で他国での販売が不利にならないように、このような規定が設けられて

いるのです。

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