週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(5)

第111号 2005/02/14

【先生】

 気づいてみれば今日はstバレンタインデー。朝から一喜一憂している人

も多いのではないでしょうか。

【生徒】

 皆さん、毎年たくさんのチョコありがとうございます。でも酒入りとホワイト

チョコは苦手なのでやめてくださいね~。

【先生】

 寝言は寝てから言いましょうね。1個ももらったことがないでしょう?

【生徒】

 し、失敬な。誰からも貰えないからって自分で買ったりなんてしないです。

【先生】

 ・・・ということは買ってるということですね。

 さて今回はまず前回お話した賃貸借契約に関係したお話です。

 賃貸借契約、特に不動産などでは、契約に基づき使用料のほか保証金

や敷金が設定される場合がほとんどです。

【生徒】

 これがまた高いんですよね~。しかもあんまり返ってこなかったり・・・

 ホントぼったくりです。

【先生】

 個人的な感想はともかく、この保証金や敷金は本来契約終了とともに

全額返還されるべきものですが、返還されない部分があります。

【生徒】

 それです、それ。それが納得いかない・・・

【先生】

 退去に伴って修繕に充てるために返却しないものは、その時点で譲渡等

の時期となりますが、契約によっては予め返却しない部分が決まっている

こともあります。

【生徒】

 それ知ってます。償却ですよね。

【先生】

 そうです。予め契約で「保証金のうち20%は償却」と定められていると、

その20%部分は無条件で返還されません。

 この場合、保証金等を受け取った時にはすでに返却しないことが明らか

ですから、その時点で譲渡等の時期となります。

【生徒】

 返却される部分はどうなるんですか?

【先生】

 預かったお金を戻すだけですので、そもそも資産の譲渡等に該当しません。

 償却部分は保証金等の受取段階で資産の譲渡等となります。

 家賃を例に考えると、受け取る側は居住用であれば非課税売上、事務所・

店舗用であれば課税売上げに計上し、支払う側は事務所・店舗用であれば

仕入税額控除の対象(簡易課税を選択している場合を除く)となります。

 忘れやすいところですので注意しないといけないですね。

【生徒】

 はーい。

【先生】

 次に、あまりお目にかかりたくはないのですが、強制換価手続による換価

の場合です。

【生徒】

 強制換価手続って何ですか?

【先生】

 わかりやすい例でいうと、差し押さえられて競売にかけられたということ

ですね。

【生徒】

 なるほど・・・それはお目にかかりたくない・・・

【先生】

 強制換価手続があった場合、その換価により買受代金が納入されたとき

に資産の譲渡等があったものとされます。

 競売の手続き等は差し押さえた側が行い、元の所有者は主体的に譲渡

するわけではないのですが、借金返済のため、資産を譲渡してその代金を

返済金に充てようということですので、その事業者が行った譲渡となります。

 その譲渡等の時期については、強制換価手続という特殊な手続で、代金

決済の確実性も見る必要があることから、買受代金が納入された時点と

されています。

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