週刊なるほど!消費税

納税義務(10)

第91号 2004/09/13

【先生】

 前回に引続き何かと話題の合併についてです。

 新設合併で設立日の資本金1千万円未満なら通常では免税事業者と

なります。

 ですが合併の場合はもう一つ判断が加わりました。

【生徒】

 合併するどちらかの法人の、その合併があった日の属する事業年度の

基準期間における課税売上高が1千万円超なら、免除されないってこと

でしたよね。

【先生】

 そうです。これは簡単に言うと、「被合併法人のいずれかが課税事業者

なら、合併でできた新設法人も課税事業者になります」ということです。

【生徒】

 なんだ。それなら簡単です。

【先生】

 合併を使って納税義務を免れようとするのを防ぐ目的があるんでしょうね。

 ですが1年決算法人ならこれでよいのですが、基準期間に事業年度を

変更していたり、ちょっと特殊な場合には注意が必要です。

【生徒】

 新しい規定ですか?

【先生】

 いえ、正確な条文と言った方が正しいでしょう。

「合併法人の合併があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間

における被合併法人の課税売上高のいずれかが1千万円を超える場合には

納税義務は免除されない」

【生徒】

 合併法人の合併があった日の属する事業年度って、つまり新しく作った会社

の設立事業年度ですよね。基準期間に対応する期間って?

【先生】

 基準期間に対応する期間とは

「合併法人の設立日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日まで

の間に終了した被合併法人の事業年度を合わせた期間」

です。

 以前似たような文言を見ませんでしたか?

【生徒】

 確か法人の基準期間が1年未満の場合ってところで・・・

【先生】

 そうです。あの時は1年のうちに開始した事業年度でしたが今回は終了した

事業年度となっています。それも合併前のそれぞれの会社の事業年度をあて

はめなければいけません。

【生徒】

 これはまた面倒ですね・・・・

【先生】

 1年決算法人でしたら、最初に言ったように被合併法人のいずれかが課税

事業者かどうかで判断できるのですが、それ以外の場合や特殊ケースでは

きちんと時系列に並べて書いてみたほうがいいでしょう。

 そしてもしその期間が12ヶ月超であったり未満であれば、きちんと12ヶ月に

割戻して課税売上高を計算してあげます。

【生徒】

 あれ?でもこれって新しい法人の設立事業年度についてですよね。それ

以後の年度はどうなるんですか?

【先生】

 いいところに気がつきました。それ以後についてはまたちょっと変わります。

 まず基準期間に対応する期間は同じです。但し「設立日」が「事業年度開始

日」となります。

 次に各被合併法人の課税売上高を個別に判断するのではなく、合計して

判断します。

【生徒】

 売上を足すってことですか?

【先生】

 そうです。それぞれを12ヶ月分にして足します。

 さらに複雑になるのは新設法人に基準期間が生じているが1年未満である

場合です。

【生徒】

 1年未満の基準期間・・・

【先生】

 基準期間がまるまる1年、新設法人の事業年度であれば、通常通り計算する

だけでOKです。

 例えばそれが10ヶ月だったとします。とすれば残り2ヶ月は合併前ということ

です。

この場合には被合併法人の基準期間に対応する期間の課税売上高(12ヶ月

に割り戻したもの)を計算し、さらにそれを2か月分に割って、新設法人の課税

売上高と合計するのです。

【生徒】

 ・・・ごめんなさい。ギブアップです。

【先生】

 確かに難しいですね。この辺りは税務署か専門家に見てもらった方がよいかも

しれません。

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