週刊税務調査日記

無予告調査 (1)

第437号 2017/10/19

午前中休暇を取って病院の待合室にいるとスマホに事務所からメッセージが入りました。

「××税務署の○○さんという方から連絡がありました。」

「株式会社××に調査に入りました。社長は了承しています。」

「午後また連絡するとのことです。」

いわゆる無予告の税務調査です。

無予告調査は、現金商売をしている事業者に対して入るケースが多かったのですが、ここ数年はありませんでした。

国税通則法という法律があり、無予告調査ができるケースがきわめて限定的になるような改正があったことも影響しています。

国税通則法によると、事前通知をして税務調査を行うと「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認められる場合に、事前通知をしないで調査ができるとしています。

具体的には次のような場合は、事前通知をしないで無予告で調査ができる例示です。

・事前通知をすると法令で罰則規定として定めている行為を行う事を助長する可能性がある場合

・事前通知をすると納税者が逃亡する可能性がある場合

・事前通知をすると帳簿書類を破棄、隠匿、改ざん、偽造する可能性がある場合

・事前通知をすると過去の違法、不当な行為を発見されないようにされる可能性がある場合

・事前通知をすると使用人や取引先などに上記のような行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する可能性がある場合

これらの要件は、ほぼ脱税をしていて、それを逃れようとするような行為をする可能性がある場合です。

とても普通の納税者が行うようなことではありません。

ですから無予告での調査は、よほどのことがなければあり得ないはずです。

それにもかかわらず、無予告で調査に入っているとの連絡があり、少々驚きました。

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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