週刊税務調査日記

無申告の調査 (1)

第428号 2016/9/5

 無申告とは、税金の申告を申告期限までにしていない状態を言います。

今回の調査は、この無申告を対象にした調査です。

■会計事務所(担当者)

「所長、昨年個人事業から法人成りしたクライアントに、個人事業時代の調査をしたい旨の連絡が税務署からありました」

■所長

「個人事業をしていたときに確定申告はしてるんでしょ?」

■会計事務所(担当者)

「それが、やっていないんです」

■所長

「え~申告していないの?」

■会計事務所(担当者)

「本人に聞いたら、何もしていないということです」

■所長

「まぁ うちの事務所が関与する前だから、仕方がないね」

調査当日です。

●税務署

「昨年法人を設立されましたが、それ以前も事業はされていたんですよね?」

★納税者

「はい、していました」

●税務署

「いつからされていましたか?」

★納税者

「法人成りする3年前からです」

●税務署

「その間、所得税の確定申告はしていないですよね?」

★納税者

「していません」

「はじめは赤字ばかりでしたので、申告する必要もないと思っていました。

■会計事務所

「赤字でも、青色申告の手続きを取って申告をしておけば、赤字を翌年以降に繰り越せたのに・・・」

★納税者

「そうなんですか」

「税金のことは何も分からなくて、何もしていません」

●税務署

「いつごろから黒字になりましたか?」

★納税者

「事業を始めて2年くらいしてからです」

●税務署

「そうですか」

「個人事業時代に帳面は付けていましたか?」

★納税者

「何もつけていません」

「あるのは通帳だけです」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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