週刊税務調査日記

ロングランの調査 (2)

第386号 2012/6/12

熊本県の天草で調査の前日に一泊して、調査の当日です。

納税者がホテルまで迎えに来てくれました。

■会計事務所

「おはようございます」

▲納税者

「すみません、遠いところまで」

■会計事務所

「何で東京国税局まで来ているのですかね」

「心当たりありますか?」

▲納税者

「あります」

「おそらく、私が以前勤めていた会社の関連だと思います」

■会計事務所

「前職の会社で何かあったのですか?」

▲納税者

「国税局の査察を受けたみたいです」

■会計事務所

「マルサですか・・・」

「それは大変だ」

「査察だと、基本的には法人税法違反とかで刑事告発されますからね」

▲納税者

「え~ 刑事罰を受けるのですか?」

■会計事務所

「そうです」

「査察が入ると大変なことなんです」

▲納税者

「確かに前職の会社は経理がルーズでしたから」

■会計事務所

「その関係で今回の調査があったのですね?」

▲納税者

「たぶんそうだと思います」

■会計事務所

「しかし、はた迷惑な話ですね」

▲納税者

「ほんとうです」

納税者の車で天草税務署に向かいます。

税務署に着くと会議室のような部屋に通されました。

新宿税務署と東京国税局の調査官が対応します。

●税務署

「東京から遠いところすみません」

■会計事務所

「突然調査に入られましたが、どうしてですか?」

●税務署

「詳しいことは申し上げられないのですが、基本的には納税者が代表をしている法人の調査ということです」

調査官は守秘義務があるので、他の会社の調査のことは一切言いません。

おそらく東京国税局が調査しているかなり大規模な脱税案件の関連取引先のひとつとして調査対象に入れられたようです。

                            つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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