週刊税務調査日記

特殊支配同族会社の調査 (3)

第303号 2008/5/19

 税務調査官は、納税者の株式譲渡にかかる取締役会議事録を要求してきました。

▲納税者

「はい、これです」

●税務署

「わかりました」

「議事録のコピーをいただけますか?」

▲納税者

「コピーですね」

●税務署

「それと、株の譲渡契約書はありますか?」

▲納税者

「あります」

「これもコピーですね?」

●税務署

「すみません、お願いします」

▲納税者

「了解しました」

●税務署

「ところで、株式の譲渡代金は、どのようにして受け渡しされたのですか?」

▲納税者

「振込でやっています」

●税務署

「では、入金された社長個人の通帳を見せてもらえますか?」

調査官は株の譲渡代金が実際に買った人から売った人に支払われているのかを確認したいようです。

取締役会議事録や株式の譲渡契約書といった書類はいくらでも作れますが、譲渡代金の決済は実際にお金が動かないことにはしようがありません。

ですから、個人の通帳を見て実際の決済状況を確認するのです。

▲納税者

「はい、これが社長の通帳です」

●税務署

「株式の譲渡代金が入金されているページを見せてください」

▲納税者

「このページです」

●税務署

「分かりました」

「確認できました」

こうして調査は終わりました。

今回は、特殊支配同族会社の適用要件をターゲットとした調査でした。

ピンポイントの調査でしたが、この件に関しては何も指摘されることはありませんでした。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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