週刊節税教室

小規模宅地特例の改正(3)

相続税
第385号 2010/5/27

☆質問

「まだ他にも小規模宅地特例に関する改正はありますか?」

★回答

「もうひとつ大きな改正があります」

☆質問

「まだあるのですね」

★回答

「被相続人の所有していた土地の上に被相続人の自宅兼用アパートが建っているようなケースで改正がありました」

☆質問

「1階と2階をアパートとしていて、3階に被相続人の自宅があるようなケースですね?」

★回答

「そうです」

「この場合、改正前においては、特例により3階が80%減額の要件を備えた場合は、1階と2階が80%減額の特例の要件を備えてなくても、建物の敷地全体が80%減額の特例を受けられました」

☆質問

「しかし、改正後は受けられない?」

★回答

「そうです」

「改正後は、敷地の内、特例を受けられる3階部分に相当する面積だけ80%減の特例を受け、1階と2階に相当する面積については、80%減の特例は受けられません」

☆質問

「なるほど、その方が合理的な気がします」

★回答

「改正前の取扱は、相続税の節税対策としても使われていました」

☆質問

「相続税対策?」

★回答

「例えば、生前に被相続人の土地の上にアパートを建築し、その一部屋を被相続人の自宅とすれば、そのアパートの敷地全体の相続税評価額が80%減となりますので、相続税対策のひとつとして、そのような提案をしていたわけです」

☆質問

「しかし、改正後はそうは行かないということですね?」」

★回答

「そうです」

「80%減となるのは、被相続人が自宅として使っていた一室に対応する敷地面積だけです」

「今後はアパートをリフォームして、被相続人の自宅部分を広くするようなことも必要かもしれませんね・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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