週刊節税教室

LLPは本当に税金が有利?(2)

所得税、法人税
第200号 2005/10/3

☆質問

「前回は、組織体で利益が出る場合は、LLPよりも株式会社の方が有利

であるとのことでした」

「実際にどれくらい有利であるか教えてください」

★回答

「わかりました」

「設例でもって説明します」

「組織体で1,000万円の利益が出たとします」

「構成員は2人で、利益の配分は半分ずつとします」

「構成員は他に所得はなく、社会保険料控除などの所得控除もないと

仮定します」

☆質問

「では、まずLLPの場合はどうなりますか?」

★回答

「LLPでは組織体の利益が構成員に直接帰属します」

「2人の利益の配分割合が半分ずつということですので、各人に500万

円ずつの利益が帰属します」

「各構成員は、500万円から基礎控除である38万円を差し引いた462万

円に、20%の税率を掛けて33万円を引いた59万4千円が、所得税の額

となります(特別減税前)」

「この内容で確定申告が必要になります」

「なお、構成員が青色申告した場合の青色申告特別控除は考慮してい

ません(この状態で青色申告特別控除が認められるか疑問?)」

☆質問

「なるほど」

「株式会社の場合はどうですか?」

★回答

「会社で出た利益1,000万円を、構成員である役員2人に500万円ずつ給

料として支給したとします」

「各構成員は、500万円から154万円の給与所得控除と基礎控除38万円

を差し引いた308万円に10%の税率を掛けた30万8千円が所得税の額と

なります(特別減税前)」

「給与所得ですから年末調整だけで、確定申告は必要ありません」

☆質問

「そうすると、LLPでは1人59万4千円の所得税で、株式会社では1人30万

8千円の所得税ということで、1人当たり28万6千円も株式会社の方が税金

が安くなるということですか?」

★回答

「そのとおりです」

「2人合わせると、株式会社の方が28万6千円×2人=57万2千円も所得税

が安くなるわけです」

☆質問

「給与でもらうから安くなるということですね?」

★回答

「そうです」

「組織体で利益が出る場合には、給与でもらった方が得ということです」

なお、LLPに関する詳細な税制については、税務署に聞いても「まだ詳細

が決まっていません」と言われ、LLPのセミナーに出席して具体的な税金

の扱いを著名なセミナーの講師に聞いても「詳細はまだ決まっていないの

で、回答できません」といった状態です。

ですから、このメルマガの情報も、私の私見であることをご理解ください。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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