週刊節税教室

決算期の変更

法人税
第76号 2003/3/24

☆質問

『4月決算なのですが、ちょうど4月末に大きな売上(利益も大きい)があるので

、今期は納税が大変です。

来期は見通しも不透明で、今回のようなビックな売上もなく、下手すると赤字に

なるかもしれません。

できたら、この売上を来期に回したいのですが、そんなことできないですよね?」

★回答

4月の売上を翌期の5月の売上とすることはできません。

そうしたら、今期の売上の計上漏れとなってしまいます。

しかし、うまい方法があります。

☆質問

『うまい方法とは何ですか?』

★回答

決算期を4月決算から3月決算に変更するのです。

そうすれば今期は昨年の5月から今年の3月までの11ヶ月決算となって、4月

のビックな売上も今期で計上しなくても済みます。

☆質問

『なるほど、でも決算期ってそんなに簡単に変えることができるのですか?』

★回答

できます。

株式会社であれば株主総会を開いて議決権の半数以上を持つ株主が出席して、3

分の2以上の議決権を持つ株主の賛成があれば変更できます。

有限会社の場合は、社員総会を開いて半数以上の社員が出席して、4分の3以上

の議決権を持つ社員の賛成があれば変更できます。

実務的には、以上の議事録を作成することが必要です。

☆質問

『で、税務署にはどのように届出るのですか?』

★回答

異動届出書に決算期を変更する旨を記載して、株式会社の場合は株主総会議事録

、有限会社の場合は社員総会議事録を添付して届出ます。

☆質問

『簡単にできるんですね。驚きました。』

★回答

決算期の変更はできますが、12ヶ月を超える決算期の変更はできません。

つまり、4月決算で決算期を1ヶ月延ばして5月を決算期としても、今期は昨年の5月

から今年の5月という13ヶ月の事業年度とすることはできません。

昨年5月から今年の4月が今期、来期は5月1日から5月31日までの1ヶ月決算とな

ってしまいます。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為