週刊節税教室

中小企業倒産防止共済の活用

法人税・所得税
第39号 2002/6/24

☆質問

『得意先が倒産した場合に融資が受けられる制度があると聞いたのですが、どのような制度でしょうか?』

★回答

はい、中小企業倒産防止共済制度のことでしょう。

☆質問

『制度の具体的内容はどのようなものですか?』

★回答

従業員数が製造業で300人以下、サービス業で100人以下、資本金が小売業で5千万円以下、ソフトウエア業で3億円以下等の条件にあたる中小企業者(個人と法人)が加入の対象となります。

掛け金を毎月5千円から最高8万円掛けることにより、掛け金総額の10倍の範囲内で手形の不渡り事故等が起きた場合に「無担保、無保証人、無利子」で緊急融資をしてくれる制度です。

掛け金総額が200万円あった場合は、2千万までの緊急融資をしてもらえます。

☆質問

『リスク管理としては便利な制度ですが、節税とどのような関係があるのですか?』

★回答

毎月の掛け金が個人事業主では全額が所得控除に(社会保険料控除と同じ)なり、法人では全額が経費となります。

掛け金は総額で320万円になるまで積み立てられます。税率が30%としても総額で320万円×30%=96万円の節税ができます。

さらに、掛け金を所得控除や経費として落としていても、40ヶ月以上掛け続けるとその後解約しても掛け金全額が戻ってくる(解約手当金)のです。

戻ってきた解約手当金は、個人や法人の収入になってしまいますが、事業が赤字の時や、含み損のあるゴルフ会員権を売却して損失が出るような時に解約すれば税負担が軽減されます。

☆質問

『なるほど、倒産防止共済制度の本来の使い方の他に節税商品としても使えるのですね。しかし、制度自体は安全なものなのでしょうか?』

★回答

国が全額出資している中小企業総合事業団が運営していますので安全性は問題ありません。

さらに、掛け金を積み立てていくと、解約手当金の範囲内で事業資金の貸付を受けられますので、得意先の倒産のリスク管理ができ、節税ができ、そして事業資金も融資可能という至れり尽せりの制度です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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