週刊節税教室

生計を一にする

所得税
第23号 2002/3/4

☆質問

  『扶養親族とは所得者と生計を一にする親族で、合計所得金額が38万円

   以下の人ということですが、「所得者と生計を一にする」とは具体的にどの

   ようなことを意味しますか。

★回答

  はい、おおよそ以下のように解釈してください。

  (1)日常生活の糧を共通にしていること

    すなわち、消費段階において同一の財布のもとで生活していること

  (2)同一の家屋に起居している場合は、日常の生活費における金銭面の

    区別が明確である場合を除いて,(1)の状態にあると推定されます。

☆質問

  『ちょっと表現が難しいです。もっとやさしく教えてください。』

★回答

  簡単に言うと「同じ屋根の下に生活していて、生活費を明確に区別して

  いない場合は「生計を一にしている」ということです。

  生活費の区分の程度ですが、電気、水道、電話、ガス代がメーターが別

  に設置され、区分されているかといった細かい点も税務裁判では「証拠を

  見せろ」と要求されています。

☆質問

  『同居していなければいけないのですか?』

★回答 

  いえ、同居していない親族間においても、生活費の送金が常に行われて

  いるような場合は,「生計が一」であるとして扱われています。

☆質問

  『では、田舎の母親に毎月生活費を送金していて、合計所得が38万円以

  下の場合は扶養控除の対象になるのですね?』

★回答

  そのとおりです。

  この場合、扶養控除の対象になるばかりでなく、お母さんが医者にかかっ

  て医療費をあなたが払った場合は、お母さんの医療費とあなたの医療費

  を合算して医療費控除を受けられます。

☆質問

  『その他に生計を一にすることで節税になることはありますか?』

★回答 

  あります。以下のとおりです。

  (1)生計を一にしている人の社会保険料を所得者が払った場合は、所得者

    の社会保険料控除とすることができます。

  (2)夫婦共稼ぎで生計を一にしている場合、子供の医療費や社会保険、生

    命保険、損害保険、等の支払はどちらがしたか分りません。したがって、

    医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、損害保険料控除な

    どは、2人で最も節税になるように、税率の高い方に全て入れて構いま

    せん。

  ●国税庁のタックスアンサーのホームページに確定申告のシミュレーション

   コーナーが掲載されています。

   なかなかのできばえのいわゆるASPです。

   電子申告をイメージしたソフトです。

   皆さんもアクセスしてみられたらどうでしょうか。

   http://www.taxanser.nta.go.jp/

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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