週刊なるほど!消費税

相続と消費税
相続人の消費税納税義務(2)

第346号 2012/1/26

☆【生徒】

父親が先月亡くなりました。

父は生前、個人で貸しビルを2棟所有していました。

消費税の課税事業者でもありました。

相続人は母(無職)と私(サラリーマン)だけです。

★【先生】

2棟のビルをどのように相続する予定ですか?

☆【生徒】

すべて母に相続させようと考えています。

★【先生】

各々の貸しビルの家賃収入はどのくらいですか?

☆【生徒】

渋谷ビルが年800万円くらいで、新宿ビルが年900万円くらいです。

★【先生】

お母さんが1人で両方のビルを相続すると、年間の家賃収入は1,700万円

くらいとなり、2年前も同じくらいの家賃収入でしょうから、今年から消費税の

納税義務がお母さんに生じます。

☆【生徒】

前々年の消費税のかかる家賃収入が1,000万円を超えますから、確かに

そうなりますよね。

★【先生】

渋谷ビルをあなたが相続し、新宿ビルをお母さんが相続すると、話が違って

きます。

☆【生徒】

もしかしてそれぞれのビルの消費税のかかる売上高が1,000万円以下にな

るから、消費税の免税事業者になるということですか?

★【先生】

そのとおりです。

相続の仕方で消費税を納めなくても良いことになるのです。

☆【生徒】

相続人が相続した物件ごとに2年前の消費税のかかる売上高が1,000万円

を超えるかどうかを判断するのですね?

★【先生】

そうなんです。

☆【生徒】

話は変わりますが、例えば父の持ちビルが1棟で、家賃収入が1,700万円く

らいあるとして、これを母と私が2分の1ずつの共有で相続したらどうなります

か?

★【先生】

この場合も、2年前の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定は、

各人ごとに2年前の家賃収入の2分の1の額で判断することになります。

☆【生徒】

ということは、1,700万円の半額で各人850万円ですから、私も母も1,000万円

以下の判定になるということですね?

★【先生】

そのとおりです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為