週刊なるほど!消費税

納税義務(法人成り:5)

第244号 2007/10/29

★【先生】

引き続き、法人成りした場合の納税義務について、事例をあげて見ています。もう

4回目です。

 今回は、前回見た事例の続きです。ちゃんと第2期、第3期、第4期の納税義務に

ついて考えてきましたか?

☆【生徒】

 ・・・考えてきました。

★【先生】

 前回出した事例は、以下のようなものでした。

 下記の場合における、平成17年から平成20年までの各事業年度について、納税

義務はどうなりますか?

・平成15年以前から継続して事業をしている個人事業者である

・平成15年中の課税売上高 : 1,070万円

・平成16年中の課税売上高 : 1,120万円

・平成17年中の課税売上高(1月1日~11月27日まで) : 900万円

・平成17年11月28日に資本金500万円で法人成りした

・1期(平成17年11月28日~平成17年12月31日)の課税売上高:150万円

・2期(平成18年1月1日~平成18年12月31日)の課税売上高:1,005万円

・3期(平成19年1月1日~平成19年3月31日)の課税売上高:270万円

・4期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の課税売上高:1,380万円

・5期(平成20年4月1日~平成21年3月31日)の課税売上高:1,640万円

☆【生徒】

 第2期は、『納税義務 (法人成り : 1)』のところでやりました!その年の

課税売上高が1,000万円を超えていても、納税義務の判定には関係ない。まだ第

2期だから、前々期はないから基準期間がない。資本金も1,000万円に満たない

から納税義務はありません!

 第3期は、『納税義務 (法人 : 2)』のところでやりました!前々期、つまり

基準期間である第1期は1年未満だから、課税売上高を1年分に割り戻す計算をしま

す。

第1期の事業年度は2ヶ月だから、150万円を2で割って12をかけます。結果

900万円だから、第3期は納税義務がありません・・・あれ・・・でもよく見ると

第1期は1ヶ月と3日間しかない・・・ってことは、第3期は2ヶ月じゃなくて

1ヶ月・・・?1ヶ月だと150万円を1で割って12をかけるから1,800万円

となって1,000万円を超えるから納税義務はある・・・?

★【先生】

 考えてきた割にはつまりましたね・・・

 月数の数え方は、消費税法に「1月に満たない端数を生じたときは、これを1月と

する」というきまりがあります。つまり切上げです。

☆【生徒】

 ・・・ってことは、やっぱり第3期は2ヶ月間となって、納税義務はありません!

 第4期は、・・・普通に前々事業年度である第2期の課税売上高が1,005万円で

1,000万円を超えているから、納税義務がある。

・・・あれ、でも第3期で事業年度が変更されていて、前々期がちょうど2年前開始

じゃないから「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過

する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」が基準期間となる、というの

を『納税義務(法人 : 3)』と同じく『(法人 : 4)』でやったような気が

します!

ということは、第4期の開始の日は平成19年4月1日。その2年前の日は平成17年

4月1日。平成17年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始した事業年度

は第1期と第2期。第1期は2ヶ月で150万円の課税売上高。第2期は12ヶ月で

1,005万円の課税売上高。足して14ヶ月で1,155万円の課税売上高となる。

1,155万円を14で割って12をかけると990万円となり、1,000万円

以下だから納税義務はありません!

★【先生】

 よく覚えてましたね。でも残念。違います。

基準期間を「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日

までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」とするのは、「その前々事業年度が

1年未満の場合」です。第2期はまるまる1年ありますから、その法律の適用はありません。

 したがって最初に判定した通り、納税義務はある、ということになります。

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