★【先生】
引き続き、法人成りした場合の納税義務について、事例をあげて見ています。もう
4回目です。
今回は、前回見た事例の続きです。ちゃんと第2期、第3期、第4期の納税義務に
ついて考えてきましたか?
☆【生徒】
・・・考えてきました。
★【先生】
前回出した事例は、以下のようなものでした。
下記の場合における、平成17年から平成20年までの各事業年度について、納税
義務はどうなりますか?
・平成15年以前から継続して事業をしている個人事業者である
・平成15年中の課税売上高 : 1,070万円
・平成16年中の課税売上高 : 1,120万円
・平成17年中の課税売上高(1月1日~11月27日まで) : 900万円
・平成17年11月28日に資本金500万円で法人成りした
・1期(平成17年11月28日~平成17年12月31日)の課税売上高:150万円
・2期(平成18年1月1日~平成18年12月31日)の課税売上高:1,005万円
・3期(平成19年1月1日~平成19年3月31日)の課税売上高:270万円
・4期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の課税売上高:1,380万円
・5期(平成20年4月1日~平成21年3月31日)の課税売上高:1,640万円
☆【生徒】
第2期は、『納税義務 (法人成り : 1)』のところでやりました!その年の
課税売上高が1,000万円を超えていても、納税義務の判定には関係ない。まだ第
2期だから、前々期はないから基準期間がない。資本金も1,000万円に満たない
から納税義務はありません!
第3期は、『納税義務 (法人 : 2)』のところでやりました!前々期、つまり
基準期間である第1期は1年未満だから、課税売上高を1年分に割り戻す計算をしま
す。
第1期の事業年度は2ヶ月だから、150万円を2で割って12をかけます。結果
900万円だから、第3期は納税義務がありません・・・あれ・・・でもよく見ると
第1期は1ヶ月と3日間しかない・・・ってことは、第3期は2ヶ月じゃなくて
1ヶ月・・・?1ヶ月だと150万円を1で割って12をかけるから1,800万円
となって1,000万円を超えるから納税義務はある・・・?
★【先生】
考えてきた割にはつまりましたね・・・
月数の数え方は、消費税法に「1月に満たない端数を生じたときは、これを1月と
する」というきまりがあります。つまり切上げです。
☆【生徒】
・・・ってことは、やっぱり第3期は2ヶ月間となって、納税義務はありません!
第4期は、・・・普通に前々事業年度である第2期の課税売上高が1,005万円で
1,000万円を超えているから、納税義務がある。
・・・あれ、でも第3期で事業年度が変更されていて、前々期がちょうど2年前開始
じゃないから「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過
する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」が基準期間となる、というの
を『納税義務(法人 : 3)』と同じく『(法人 : 4)』でやったような気が
します!
ということは、第4期の開始の日は平成19年4月1日。その2年前の日は平成17年
4月1日。平成17年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始した事業年度
は第1期と第2期。第1期は2ヶ月で150万円の課税売上高。第2期は12ヶ月で
1,005万円の課税売上高。足して14ヶ月で1,155万円の課税売上高となる。
1,155万円を14で割って12をかけると990万円となり、1,000万円
以下だから納税義務はありません!
★【先生】
よく覚えてましたね。でも残念。違います。
基準期間を「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日
までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」とするのは、「その前々事業年度が
1年未満の場合」です。第2期はまるまる1年ありますから、その法律の適用はありません。
したがって最初に判定した通り、納税義務はある、ということになります。
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