★【先生】
前々回から、法人成りした場合の納税義務について、事例をあげて見ています。
☆【生徒】
前回も前々回も、新たに事業を開始した個人事業者が法人成りした場合について
の事例でしたよね。
★【先生】
個人事業者と法人とは、人格を切り離して考える。新たに設立した法人の納税義務
の判定には、個人事業者の時の課税売上高は関係ない。だから法人成りをうまく
活用すれば、消費税の節税ができる、ということでした。
今回も引き続き、法人成りした場合の納税義務について、例をあげて見ていきます。
下記の場合における、平成16年から平成20年までの各事業年度について、納税
義務はどうなりますか?
・平成14年以前から継続して事業をしている個人事業者である
・平成14年中の課税売上高 : 3,100万円
・平成15年中の課税売上高 : 1,850万円
・平成16年中の課税売上高 : 990万円
・平成17年中の課税売上高 : 1,900万円
・平成18年中の課税売上高 : 3,300万円
・平成19年中の課税売上高(1月1日から11月4日まで) : 3,000万円
・平成19年11月5日に資本金1万円で法人成りした
・1期(平成19年11月5日~平成20年10月31日)の課税売上高 : 3,800万円
☆【生徒】
平成14年以前から継続して事業を行っている。平成19年11月5日に法人成り
した。
・・・中途半端な日に法人成りしていますね・・・
★【先生】
別に法人を設立する日を、必ずキリの良い日にしなければならないということはあり
ません。
☆【生徒】
資本金は1万円。これもまた、ずいぶんと少ないですね。
★【先生】
それも別に、今は法律が改正されたので、資本金の額はいくら以上にしなければなら
ない、という決まりはありません。
☆【生徒】
事業年度については、第1期は、設立の日が中途半端だから丸一年とはならず、
10月31日まで。あとは各事業年度における課税売上高が示されている。・・・
すごい勢いのV字回復ですね・・・
★【先生】
大きなところでは、継続して事業を行っていた個人事業者が法人成りした、という所
が前回と異なっています。
☆【生徒】
平成16年は、・・・『納税義務 (個人事業者 : 3)』のところでやりま
した!個人事業者の納税義務の判定は、あくまでもその年の前々年の課税売上高で
判定する。その年の課税売上高が超えていても、超えていなくても、その年の納税
義務には影響しない!
平成14年の課税売上高が1,000万円を超えているので、納税義務はあります!
平成17年は、これは普通に前々年の平成15年の課税売上高から考えて1,000
万円を超えているので、納税義務はある。
平成18年は、・・・『納税義務 (個人事業者 : 4)』のところでやりま
した!その年の課税売上高が1,000万円を超えていても、前々年の平成16年の
課税売上高が990万円で1,000万円以下だから、納税義務はありません!
平成19年は・・・前回と同じで、個人事業者と法人との人格を切り離して考え
ます。
平成19年11月4日までの個人事業者のときの納税義務は、平成17年で判断。平
成17年度の課税売上高は1,900万円で1,000万円を超えているから納税
義務がある!
法人になってからは、新設法人には前々期がない。資本金も1万円で、1,000
万円に満たないから納税義務はありません!
★【先生】
その通りです。ちなみにこの事業者の場合には、第2期も免税事業者となります。
このように、継続して事業を行っている個人事業者であっても、わずかな資本金を
準備して法人成りすることにより、法人成りしたときから原則2年間、納税義務の免
除を受けることで、消費税を節税をすることができるのです。
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