週刊なるほど!消費税

納税義務(法人成り:2)

第241号 2007/10/08

★【先生】

前回は、法人成りした場合の納税義務について、基本的な例をあげて話をしまし

た。

☆【生徒】

 個人事業者が法人成りした場合、個人事業者と法人とは、人格を切り離して考え

る。新たに設立した法人の納税義務の判定には、個人事業者の時の課税売上高

は関係ない、との話でしたよね。

★【先生】

 法人成りをうまく活用すれば、消費税の節税ができる、ということでした。

 今回も前回より引き続き、法人成りした場合の納税義務について、例をあげて見て

いきます。

 下記の場合における、平成16年、平成17年、平成18年、そして平成19年の各

事業年度について、納税義務はどうなりますか?

・平成16年7月1日に個人事業者として事業を開始した

・平成16年中の課税売上高(7月1日から12月31日まで) : 600万円

・平成17年中の課税売上高 : 1,100万円

・平成18年中の課税売上高 : 1,150万円

・平成19年中の課税売上高(1月1日から3月31日まで) : 300万円

・平成19年4月1日に資本金10万円で法人成りした

・1期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の課税売上高 : 900万円

☆【生徒】

 平成16年7月1日に事業を開始している。平成19年4月1日に法人成りした。資

本金は10万円。事業年度は個人事業者のときとは違って4月1日~3月31日。あと

は各事業年度における課税売上高が示されている。

★【先生】

 前回の例と似ているところもありますが、違うところに注目して考えてみてください。

 ☆【生徒】

 ・・・まず平成16年は、前回と同じです。『納税義務 (法人 : 5)』の

ところでやった通り、新規に事業を開始した個人事業者の場合には、納税義務は

ありません。

 平成17年も、前回と同じで、納税義務はありません。

 ・・・平成18年は、『納税義務 (個人事業者 : 2)』のところでやり

ました!個人事業者の納税義務の判定は、その年の前々年の課税売上高で判定する。

平成16年の課税売上高は、7月1日から12月31日までの6ヶ月間で600万円。

個人事業者は法人と違って、事業を年の途中から始めていても1年に割り戻す計算は

しないから、平成16年の課税売上高は600万円。つまり1,000万円以下と

なる。従って平成18年度も、納税義務はありません!

★【先生】

 そうですね。よく覚えていましたね。平成19年はどうなりますか?

☆【生徒】

 ・・・平成19年は・・・年の途中で法人成りしていますが・・・どうなるんだ?

★【先生】

 年の途中で法人成りしていても、今までと考え方は変わりません。個人事業者と法人

との人格を切り離して考えてみてください。

☆【生徒】

 ・・・まず個人事業者のときは、納税義務があるかないかは、2年前の課税売上高

が、1,000万円を超えているかで判断するから、平成19年の納税義務は平成

17年で判断する。平成17年度の課税売上高は1,100万円で1,000万円を

超えているから納税義務がある!

 ・・・法人になってからは・・・これは前回と同じですね?この法人は新設法人

だから、前々期がない。資本金も10万円で、1,000万円に満たないから納税義務

はありません!

★【先生】

 その通りです。つまり平成19年は、3月31日までは個人事業者として納税義務が

あることになり、4月1日からは新設法人として納税義務は免除されることとなります。

 このように、法人成りした場合の納税義務の有無の判定には、注意が必要です。

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