★【先生】
前回から引き続いて、基準期間がない法人の納税義務について見ていきます。
前回出した例題は、以下の通りでした。
下記の場合の、平成19年度の納税義務についてです。
・平成19年1月に事業を開始した法人である
・1期(平成19年1月1日~平成19年12月31日)の課税売上高:1,200万円
・1期の期首における資本金:1,000万円
☆【生徒】
“平成19年の納税義務は平成17年の課税売上高で決まる。平成17年は、まだ
事業を開始していないから課税売上高はない、つまりゼロ。ゼロということは、課税
売上高が1,000万円以下なので、納税義務はない。”と判定するのは、結論が違う
という話でしたよね。
★【先生】
消費税法では、「基準期間がない法人の納税義務」について、「その事業年度の
基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本又は出資の金額
が1,000万円以上である法人については、その新設法人の基準期間がない事業
年度における課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない」と定めてい
る、というところまで話ました。
☆【生徒】
「その事業年度・・・の基準期間・・・がない法人のうち、その事業年度・・・
始・・・1,000万円・・・」まだ覚えきれない・・・。
★【先生】
では、今までと同じように、この言葉をひとつひとつバラバラにして考えてみましょ
う。
まずは「その事業年度の基準期間がない法人」です。法人の「基準期間」は前々
事業年度のことでした。
☆【生徒】
前々事業年度がない法人・・・つまり新設法人のことですね。
★【先生】
次に「その事業年度開始の日」です。これは期首のことですね。
☆【生徒】
さっきの例だと平成19年1月1日になります。
★【先生】
その次は「資本又は出資の金額」です。原則的には資本金のことと考えてください。
☆【生徒】
さっきの例で言うと、1,000万円ということになりますね。
★【先生】
その通りです。
つまり「その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日におけ
る資本又は出資の金額が1,000万円以上である法人」とは、期首における資本金の
金額が1,000万円以上である法人のことです。これに該当する法人については「納
税義務は免除されない」とされている、ということです。
☆【生徒】
・・・ということは、さっきの例で言えば、期首(平成19年1月1日)における
資本金は1,000万円だから、期首における資本金が1,000万円以上となるか
ら、納税義務は免除されない!
・・・あれ、「1,000万円以上」って、1,000万円を含むのですっけ?
★【先生】
含みます。よって“納税義務は免除されない”という結論で正解です。
基本的には、新設法人は納税義務が免除されるのですが、出資額によって納税義務
の免除を受けることができないことがありますので、注意が必要です。
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