★【先生】
前回は、前々回に引き続いて、法人が2期以上連続で事業年度を変更した場合
について見てきました。
法人の「前々事業年度が1年未満の場合」の「基準期間」は、「その事業年度
開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始
した各事業年度を合わせた期間」である、という話でした。
☆【生徒】
過去に2期以上連続で事業年度を変更している場合には、単純に前々期におけ
る課税売上高のみで判定してはいけない場合があり、その場合の納税義務の判定
には注意が必要、ということでしたよね。
★【先生】
今回から、法人の基準期間がない場合について見てみましょう。
☆【生徒】
基準期間がない法人・・・?
★【先生】
そうです。新設法人のことです。これは新たに事業を開始した個人事業者と対比
して見ると分かりやすいので、個人事業者の場合の納税義務の復習を兼ねて、
まずは個人の場合の例を見てみましょう。
次の例の場合、19年度の納税義務はどうなりますか?
・平成19年1月に事業を開始した個人事業者である
・平成19年中の課税売上高 : 1,200万円
☆【生徒】
平成19年の消費税の納税義務があるかないかは、平成17年の課税売上高が
1,000万円を超えているかどうかで決まるから・・・あれ・・・平成17年
の課税売上高がない・・・?・・・から、平成19年の納税義務はない・・・
★【先生】
しどろもどろですね。確かにこのような例は今回見ていません。でも基本は同じで
す。
基本に戻って考えてみましょう。
個人事業者の場合も法人の場合も、消費税の納税義務があるかないかは、「その
課税期間に係る基準期間における課税売上高」が1,000万円を超えるかどうかで
決まります。
個人事業者における「課税期間」はその年、つまり今回の場合は平成19年となり
ます。また「基準期間」はその年の前々年のことなので、平成17年となります。
☆【生徒】
じゃあその基本どおり、平成19年の納税義務は平成17年の課税売上高で決まる。
平成17年は、まだ事業を開始していないから課税売上高はない、つまりゼロ。ゼロ
ということは、課税売上高が1,000万円以下なので、納税義務はない!
★【先生】
そうです。
つまり新規に事業を開始した個人事業者の場合には、“基準期間における課税売
上高がゼロ“ということになりますので、納税義務はない、という結論となります。
☆【生徒】
じゃあ、間違ってなかったんじゃないですか~。
★【先生】
ここからは説明が長くなってしまいますので、今回はここまでにします。次回は本題
です。基準期間がない法人の納税義務の免除の特例について、今回の続きから説明
します。
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