★【先生】
前回から引き続いて、法人が2期以上連続で事業年度を変更した場合に
ついて見ています。
前回出した例題は、以下の通りです。
下記におけるの20期の納税義務の判定についてです。
・継続して事業を行っている法人である
・16期(平成16年10月1日~平成17年9月30日)の課税売上高 :1,300万円
・17期(平成17年10月1日~平成17年12月31日)の課税売上高 :300万円
・18期(平成18年1月1日~平成18年3月31日)の課税売上高 : 240万円
・19期(平成18年4月1日~平成19年3月31日)の課税売上高 : 900万円
・20期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の課税売上高 : 800万円
☆【生徒】
“20期の基準期間は前々期の18期。18期の事業年度は3ヶ月だから、240
万円を3で割って12をかけ、960万円となるから、20期は納税義務がない。”と
判定するのは間違っている、という話でしたよね。
★【先生】
消費税法では、法人の「前々事業年度が1年未満の場合」の「基準期間」は、
「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日
までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」と定義している、というところ
まで話ました。
☆【生徒】
「その事業年度開始の日の2年前の日・・・の・・・前日・・・」・・・まだ覚え切れ
ない・・・
★【先生】
少し難しい言い方ですね。では、この言葉をひとつひとつバラバラにして考え
てみましょう。
まずは「その事業年度開始の日」です。これはそのままの意味ですぐに分かり
ますよね。
☆【生徒】
上の例だと平成19年4月1日になります。
★【先生】
ではその「2年前の日」はいつですか?
☆【生徒】
上の例だと平成17年4月2日です。その「前日」は、平成17年4月1日です。
★【先生】
そうです。日本語の問題ですが、「2年前の日」は平成17年4月1日ではなく、
4月2日です。
では「同日以後1年を経過する日」はいつですか?
☆【生徒】
平成17年4月1日から1年を経過する日だから、平成18年3月31日です。
★【先生】
その通りです。つまり、法人の「前々事業年度が1年未満の場合」の「基準
期間」は、上の例で言うと平成17年4月1日から平成18年3月31日「までの
間に開始した各事業年度を合わせた期間」となります。
☆【生徒】
・・・ということは、16期は平成16年10月1日開始だから含まれない。17期
は平成17年10月1日開始だから含まれる。18期は平成18年1月1日だから
含まれる。19期は平成18年4月1日だから含まれない。
17期と18期が基準期間になります!
17期の課税売上高は300万円、18期の課税売上高は240万円だから、足
して540万円になります!
★【先生】
そうですね。でも、それで終わりではありません。
17期は3ヶ月、18期も3ヶ月しかありませんから、足しても6ヶ月しかありませ
ん。ですからこれを1年に割り戻さなくてはなりません。
☆【生徒】
そうか!じゃあ540万円を6ヶ月で割って、12をかけて計算した結果の
1,080万円で納税義務の判定をするんだ!1,000万円を超えるので納税
義務がある!
★【先生】
そうですね。
今回の場合、結果が“納税義務なし”から“納税義務あり”に変わってしまいま
した。このように、計算の仕方によって納税義務の有無の判定の結果が全く逆
になってしまうこともあります。過去に事業年度を変更している場合の納税義務
の有無の判定には注意が必要です
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