週刊なるほど!消費税

納税義務(法人:4)

第236号 2007/09/3

★【先生】

 前回から引き続いて、法人が2期以上連続で事業年度を変更した場合に

ついて見ています。

 前回出した例題は、以下の通りです。

 下記におけるの20期の納税義務の判定についてです。

・継続して事業を行っている法人である

・16期(平成16年10月1日~平成17年9月30日)の課税売上高 :1,300万円

・17期(平成17年10月1日~平成17年12月31日)の課税売上高 :300万円

・18期(平成18年1月1日~平成18年3月31日)の課税売上高 : 240万円

・19期(平成18年4月1日~平成19年3月31日)の課税売上高 : 900万円

・20期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の課税売上高 : 800万円

☆【生徒】

 “20期の基準期間は前々期の18期。18期の事業年度は3ヶ月だから、240

万円を3で割って12をかけ、960万円となるから、20期は納税義務がない。”と

判定するのは間違っている、という話でしたよね。

★【先生】

消費税法では、法人の「前々事業年度が1年未満の場合」の「基準期間」は、

「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日

までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」と定義している、というところ

まで話ました。

☆【生徒】

「その事業年度開始の日の2年前の日・・・の・・・前日・・・」・・・まだ覚え切れ

ない・・・

★【先生】

 少し難しい言い方ですね。では、この言葉をひとつひとつバラバラにして考え

てみましょう。

 まずは「その事業年度開始の日」です。これはそのままの意味ですぐに分かり

ますよね。

☆【生徒】

 上の例だと平成19年4月1日になります。

★【先生】

 ではその「2年前の日」はいつですか?

☆【生徒】

上の例だと平成17年4月2日です。その「前日」は、平成17年4月1日です。

★【先生】

 そうです。日本語の問題ですが、「2年前の日」は平成17年4月1日ではなく、

4月2日です。

 では「同日以後1年を経過する日」はいつですか?

☆【生徒】

 平成17年4月1日から1年を経過する日だから、平成18年3月31日です。

★【先生】

 その通りです。つまり、法人の「前々事業年度が1年未満の場合」の「基準

期間」は、上の例で言うと平成17年4月1日から平成18年3月31日「までの

間に開始した各事業年度を合わせた期間」となります。

☆【生徒】

・・・ということは、16期は平成16年10月1日開始だから含まれない。17期

は平成17年10月1日開始だから含まれる。18期は平成18年1月1日だから

含まれる。19期は平成18年4月1日だから含まれない。

 17期と18期が基準期間になります!

 17期の課税売上高は300万円、18期の課税売上高は240万円だから、足

して540万円になります!

★【先生】

 そうですね。でも、それで終わりではありません。

 17期は3ヶ月、18期も3ヶ月しかありませんから、足しても6ヶ月しかありませ

ん。ですからこれを1年に割り戻さなくてはなりません。

☆【生徒】

 そうか!じゃあ540万円を6ヶ月で割って、12をかけて計算した結果の

1,080万円で納税義務の判定をするんだ!1,000万円を超えるので納税

義務がある!

★【先生】

 そうですね。

 今回の場合、結果が“納税義務なし”から“納税義務あり”に変わってしまいま

した。このように、計算の仕方によって納税義務の有無の判定の結果が全く逆

になってしまうこともあります。過去に事業年度を変更している場合の納税義務

の有無の判定には注意が必要です

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