週刊なるほど!消費税

納税額の計算(6)
原則課税

第131号 2005/07/18

【先生】

 前回に引続き課税売上割合の計算について見ていきましょう。

 今回は非課税売上についてです。非課税売上が限定列挙されていたのは

覚えていますか?

【生徒】

 はい。確か13項目ありました。

【先生】

 それらの中には課税売上割合の計算に含めると不都合が出てしまうものが

あります。そのため消費税法上は非課税売上だけれども、課税売上割合の

計算上は非課税売上から除くものが決められています。

【生徒】

 単純に非課税売上になるものを集計するだけじゃないんですね。

【先生】

 細かい内容を含むものもありますので、ここでは主だったものを紹介していき

ましょう。

 まずは収集品等を除く支払手段の譲渡です。

【生徒】

 支払手段っていうと確かお金とか小切手のことでしたね。

【先生】

 そうです。

 例えば1万円の紙幣を1万円で売ったといっても、実質上はお金が移動した

だけですので、課税売上割合の非課税売上高からは除かれます。

【生徒】

 ふむ・・・当然って言えば当然な気がする。

【先生】

 次に資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡対価です。

【生徒】

 金銭債権の譲渡は非課税取引でしたけど、条件がついてるんですか?

【先生】

 そうです。「資産の譲渡等の対価として取得した」という条件がついています。

 これは具体的にイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。

 資産の譲渡等の対価としてということですから、モノやサービスを販売した

対価ということです。販売時には当然売上が計上されます。

 このときに取得した売掛金等の金銭債権を、入金を待たずに第3者へ譲渡し

対価を取得しました。

 この場合、入金日まで待つか第3者へ譲り渡すかだけの違いで、実質的には

金銭債権が入金されたということに変わりありません。

 もし譲渡の場合に、金銭債権の譲渡ということで非課税売上割合の計算に

含めるとすると、販売時に既に売上を計上しているのに、さらに売上が計上さ

れてしまうことになります。

【生徒】

 2重計上になってしまうんですね。

【先生】

 商品を100万円で販売し、その金銭債権を100万円で譲渡したとすると、

もし全て計算に含めるとすれば課税売上100万円、非課税売上100万円で

課税売上割合は50%になってしまいます。

 もし譲渡せずに期日まで入金を待てば課税売上割合100%です。

 このような不合理を除くため、資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の

譲渡対価は非課税売上から除くこととされています。

【生徒】

 資産の譲渡等の対価でなかったら含めるんですか?

【先生】

 当然そうなります。他者から譲り受けた金銭債権を第3者に譲渡した場合には

非課税売上に含めます。

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