【先生】
今回は利子について具体例を挙げながら見ていきます。
利子と聞いて思い浮かべる取引はどんなものがあります?
【生徒】
お金の貸し借りと預貯金。あとは社債・国債とかかな。
【先生】
預貯金も銀行などにお金を貸してるということだし、社債・国債
も同様です。結局はお金を貸した対価が利子なんですね。
【生徒】
今は預金の利息なんてスズメのナミダより少ないですよね・・・
この前間違って土曜日に下ろしちゃったんで、手数料だけで利息
が飛んじゃいました・・・
この恨み晴らさでおくべきか○○銀行!
【先生】
・・・はいはい。がんばってね。
ここでは単純に貸付金といってますが、例えば前渡金や仮払金
に利子がつく場合があります。
この利子は非課税取引に該当するのでしょうか?
【生徒】
実質が貸付金なら、該当するはずですよね。
【先生】
そうです。
前渡金や仮払金は、モノや役務提供の対価又は加工賃等の
支払で、必要になる資金を予め購入者や委託者が支払うという
ものです。
「利子を対価とする貸付金」ということではないですが、通常
よりも早く資金を手にできるため、前渡期間については貸付と
同様の性質を持つことになります。
そのため前渡金等に係る利子についても非課税取引として
扱います。
【生徒】
なるほど。
【先生】
逆に消費税では利子として扱わないものもあります。
売上割引と仕入割引です。
【生徒】
売上割引と仕入割引?
【先生】
例えば30日後入金の売掛金があるとします。売り上げた日
の30日後に入金されるということですね。
この売掛金が期日より早く入金された場合、一定額を割引く
というのが売上割引です。
逆に買掛金を支払期日より先に支払った場合に割引いても
らったものが仕入割引となります。
【生徒】
早く代金を決済したら、その利子分くらいおまけしてあげよう
ってことか。
【先生】
そうですね。そう考えると分かりやすいでしょう。
会計上では、あくまで代金の決済上出てくる話ですので、物の
売買や役務提供自体とは切り離して考えます。
そのため利子と同様の扱い、営業外取引として把握します。
計算方法も利子と同じように計算したりします。
【生徒】
そしたら実体が利子ってことになるんじゃないですか?
【先生】
ところが消費税ではちょっと違う考え方をします。
そもそも非課税取引となる利子は、貸付金や前渡金など、先に
お金が先方に渡っていることが前提になっています。
ところがこの売上割引 ・仕入割引は、先にお金をもらっていて、
それに利子を支払うというものではなく、期限前に決済してくれた
ことに対する報奨金的な性格のものです。
また消費税法では、売掛金や買掛金の減額は元の取引つまり
売上や仕入に係る対価の返還とするとされており、売上割引 ・仕入
割引も、利子に似ていますが掛金額を減額させるものには変わりあ
りません。
【生徒】
つまり?
【先生】
売上割引 ・仕入割引それ自体を非課税取引とするのではなく、
元の取引である売上や仕入の返還(減額)として取り扱うことに
なります。
元の売上や仕入取引が課税取引なら、それにかかる売上割引・
仕入割引も課税取引、ということですね。
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