【先生】
対価の額のお話も、みなし譲渡と低額譲渡という難しいところが
終わりました。
今回はちょっと細かいところの話をしましょう。個別消費税と対価
の額との関係です。
【生徒】
個別消費税?
【先生】
そうです。
通常消費税というと、今お話している5%の税率で課税される
消費税のことです。これは物やサービスの消費一般に広く課税
されるもので、一般消費税と言ったりします。
それに対して個別消費税とは、ある特定の物・サービスの消費
に限定して課税される消費税のことです。
【生徒】
そんな消費税があったんですか。
【先生】
具体例を挙げるとすぐわかります。例えば酒税、たばこ税、石油
税。入湯税やゴルフ場利用税なんかも個別消費税です。
【生徒】
なるほど。たばこや発泡酒は税率上げるとか騒いでましたよね。
【先生】
その個別消費税を対価の額に含めるかどうか、というのが今回
のお話です。
【生徒】
でも対価の額は消費税をかける元になる金額のことですよね?
個別消費税を対価の額に含めると、税金に税金をかけることに
なっておかしくないですか?
【先生】
そうですね。1万円の物に個別消費税が千円かかるとします。
対価の額に含めるということは、1万円ではなく1万1千円に5%
をかけるということになります。
たばこや発泡酒みたいに個別消費税が上がると、一般消費税
の税率5%は変わらないのに払う消費税額は増えてしまいます
ので、一般消費税まで上がってしまったような感じになります。
【生徒】
税金に税金をかけるなんてなんか納得できないなぁ・・・
やっぱり単純に考えて、対価の額には含めないんですよね?
【先生】
いえ、対価の額に含める場合が規定されています。その代表例
が酒税、たばこ税、石油税です。
たばこを考えてみて下さい。1箱250円のたばこを買ったときに、
一体いくらがたばこ税かわかりますか?
【生徒】
1本あたり1円増税なんて話はよく聞きますけど、実際いくらが
たばこ税かはわからないなぁ・・・
【先生】
実はこれらの個別消費税は、買う人が消費することでかかる税
ではなく、製造者が工場などから移出するときに製造者にかけら
れる税金です。そのため、製造原価に含められ価格の一部を構成
するということで、対価の額に含めることになります。
要は、たばこを買う際に1箱250円の内いくらがたばこ税かわか
らないので、たばこ税を含めたトータルが対価の額になる、と考え
るとわかりやすいでしょう。
【生徒】
だとすると、全て個別消費税が対価の額に含まれることになるん
ですか?
【先生】
ゴルフ場利用税や入湯税などは原則として含めません。
ゴルフ場の領収明細書は見たことがあるでしょうか?よく「利用
税」と税額が明記されています。正に利用した人が払う税金という
ことすので、価格を構成するものではありません。
ただ税額を区分して明示いない場合には、対価の額に含めるこ
とになります。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。